Unityにおける Destroy メソッドの動作と使用方法
Destroy
メソッドは、Unityでゲームオブジェクトやコンポーネントを削除するために使用される機能です。ただし、削除のタイミングや削除後のオブジェクトの状態について、注意するべき点があります。この技術資料では、Destroy
メソッドの動作やフレームタイミング、Destroy
実行後の null
チェックについて詳細に解説します。
1. Destroy
メソッドの基本動作
Destroy
メソッドは、指定されたゲームオブジェクト、コンポーネント、またはアセットを削除しますが、即座に削除されるわけではありません。削除は、現在のフレームの終了時に行われます。
使用例:
Destroy(gameObject); // 現在のゲームオブジェクトを削除
このコードでは、gameObject
が削除されますが、削除のタイミングはそのフレームが終了した後です。このため、削除後もそのフレーム内ではまだオブジェクトにアクセスすることが可能です。
2. 実行されるフレームタイミング
Destroy
メソッドが呼び出されたオブジェクトは、現在のフレームが終了した後に削除されます。つまり、呼び出されたフレーム内ではオブジェクトがまだ有効です。このため、Destroy
を呼び出した直後にそのオブジェクトを操作することは可能ですが、後続のフレームでオブジェクトが削除されることを意識する必要があります。
注意点:
Update
やFixedUpdate
でDestroy
を呼び出しても、そのメソッド内の残りの処理ではオブジェクトはまだ有効です。- 削除されるのはフレーム終了後ですので、フレームの残り部分でそのオブジェクトにアクセスする場合は、慎重に扱う必要があります。
3. DestroyImmediate
メソッドについて
DestroyImmediate
メソッドは、オブジェクトを即座に削除したい場合に使用されます。このメソッドは通常のランタイム中には推奨されず、エディタ用として主に使用されます。DestroyImmediate
はオブジェクトを即座に削除するため、シーン内の他のオブジェクトがそのオブジェクトにアクセスしようとするとエラーが発生する可能性があります。
使用例:
DestroyImmediate(gameObject); // ゲームオブジェクトを即座に削除
このメソッドをランタイム中に使用すると、予期しない動作を引き起こす可能性があるため、通常は使用しないことが推奨されます。
4. Destroy
実行後の null
チェック
Destroy
メソッドを実行した後、そのオブジェクトは即座に削除されるわけではありませんが、“fake null" という状態に移行します。この状態では、オブジェクトがメモリ上にまだ存在しているにもかかわらず、Unityの内部ではnull
と見なされます。
null
チェックの例:
GameObject obj = someGameObject;
Destroy(obj);
// ここでは obj は null ではなく、破棄予定としてマークされている
if (obj == null)
{
Debug.Log("Destroy後、オブジェクトはnullと見なされています。");
}
else
{
// ここに到達するが、オブジェクトは破棄予定の状態
Debug.Log("オブジェクトはまだ有効ですが、破棄予定です。");
}
Destroy(obj)
を実行すると、Unity はそのオブジェクトを即座に null
にしません。オブジェクトは破棄予定としてマークされ、次のフレーム終了時にメモリから削除されます。このため、Destroy
直後に null
チェックを行っても、そのオブジェクトはまだ null
ではありません。
注意点:
Destroy
実行後、null
チェックは有効ですが、オブジェクトに対する他の操作(メソッドの呼び出しなど)は行わないようにするべきです。Destroy
されたオブジェクトにアクセスすると、エラーや不具合が発生する可能性があります。
5. Destroy
の使用例
Destroy
メソッドを使用したシンプルな例を示します。
public class DestroyExample : MonoBehaviour
{
void Update()
{
if (Input.GetKeyDown(KeyCode.Space))
{
Destroy(gameObject); // スペースキーが押されたら現在のオブジェクトを削除
}
}
}
このコードでは、スペースキーが押された際にゲームオブジェクトが削除されますが、削除はそのフレームが終了した後に行われます。
6. まとめ
Destroy
メソッドは、呼び出されたフレームの終了後にオブジェクトを削除します。DestroyImmediate
はオブジェクトを即座に削除しますが、通常のランタイム中には推奨されません。Destroy
実行後、そのオブジェクトは"fake null"として扱われ、null
チェックは有効です。Destroy
されたオブジェクトに対して後続の処理でアクセスする際は、注意が必要です。
この技術資料を参考に、Destroy
メソッドの正しい使用方法を理解し、開発に役立ててください。
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