UnityにおけるEditorLoopの概要とビルドへの影響に関する資料
本資料は、UnityのProfiler上で表示される「EditorLoop」の意味、内部で実行される処理内容、及びこれがビルド(実行ファイル)に与える影響についてまとめたものです。
1. EditorLoopの概要
- 定義
Unityエディタで動作するすべての処理、すなわちエディタウィンドウの描画、イベント処理、エディタ拡張の実行、および内部の各種更新処理が「EditorLoop」として集約されます。 - 対象の処理
- ウィンドウ更新:Sceneビュー、Projectビュー、Inspector、メニューバーなどの描画・操作
- エディタ拡張の実行:カスタムEditorWindow、カスタムインスペクタ、OnGUIおよびUpdateメソッドなど
- 内部処理:スクリプタブルオブジェクトの処理、シリアライズ、Undo/Redo履歴の管理、アセット管理など
2. EditorLoopが発生する背景とその影響
- エディタ特有の負荷
EditorLoopは、Unityエディタ内での操作や表示に関する全ての処理を含むため、エディタ上でゲームを動かす際に一部の処理時間はEditorLoopに計上されます。- ゲームプレイコードとは別に、エディタ自体のオーバーヘッドが存在します。
- パフォーマンスの解析
Profilerの「Hierarchy」や「Timeline」ビューでEditorLoopの下位処理を細かく確認することで、エディタ上の負荷発生箇所を特定し、必要に応じて最適化することが可能です。 - 発生原因の例
- 大量のエディタ拡張やカスタムエディタスクリプトの利用
- シーンビューでのリアルタイム描画(ギズモ、ワイヤーフレームなど)
- アセット管理やスクリプト変更の監視による内部処理の増加
3. ビルド(ランタイム)への影響
- ビルド時の除外
- EditorLoopは、主にUnityエディタ内で実行される処理を対象としているため、ビルドされた実行ファイル(ランタイム環境)には含まれません。
- エディタ専用のコードは通常、
#if UNITY_EDITOR
ディレクティブやUnityEditor
名前空間を用いて管理されるため、誤ってランタイムへ混入しなければ、最終的なゲームのパフォーマンスに影響しません。
- 確認すべきポイント
- 条件付きコンパイル:エディタ用コードが誤ってビルドに含まれていないかをチェックする。
- コードの分離:エディタ専用のスクリプトとランタイム用のスクリプトを明確に分け、管理する。
4. 最適化と注意点
- エディタ拡張の最適化
不要なEditor拡張を無効化する、もしくはシーンビューなどのウィンドウを最小限にすることで、EditorLoopの負荷を軽減可能です。 - デバッグと解析
Profilerの詳細ビューを利用して、どの処理がEditorLoop内で多くのリソースを消費しているのかを確認し、改善策を講じると良いでしょう。 - 開発環境の整理
エディタ環境とビルド環境のコード分離のルールを徹底することで、不要な影響を防ぐことができます。
5. まとめ
- EditorLoopはエディタ内部の処理を管理するためのカテゴリ
ゲーム実行時のエディタウィンドウの更新、エディタ拡張、内部データ管理などが対象になっており、ゲーム自体のロジックとは区別されています。 - ビルド後のゲームパフォーマンスには影響しない
適切な条件付きコンパイルとコード分離が行われている場合、EditorLoopに起因する負荷はビルド時の実行環境には反映されません。 - 開発中はエディタパフォーマンス最適化のための解析が重要
編集作業の効率化とエディタのレスポンス改善のため、Profilerを活用してEditorLoopの詳細な処理を把握し、適宜改善策を実施することが望まれます。
この資料を参考に、Unityエディタの特性を理解し、エディタ内での処理負荷とビルドされたゲームのパフォーマンスの関係を適切に把握してください。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません