UnityでWebアプリを公開する:最新手順&注意点
(WebGL/WebGL Publisher/Unity Play 連携版)
はじめに
Unity で制作したゲームやインタラクティブアプリを「ブラウザ上で即プレイ可能な形」で公開するには、WebGL をターゲットにしたビルド+ホスティング/配布プラットフォームが有効です。
元となる手順を整理した記事があります。
本稿ではそれをベースに、2025年時点で押さえておきたい最新の手順・モジュール・落とし穴も含めて紹介します。
手順概要
大まかには以下の流れです:
- サンプルプロジェクト作成(動作確認用)
- WebGL 対応モジュールのインストール/設定
- WebGL Publisher パッケージのインストール
- Unity エディター再起動/設定チェック
- WebGL ビルド+公開(Unity Play へ)
- 公開後に発生しうる制約・トラブル対処
以下、詳細に説明します。
1. サンプルプロジェクト作成
まずは、動作確認用にシンプルなプロジェクトを作成しましょう。例えば:
- 新規 3D プロジェクト(プロジェクト名例:WebGLSample)
- シーンに Capsule(カプセル)オブジェクトを1つ配置
- 以下のようなシンプルスクリプトをアタッチして、キーボード操作で移動できるようにする:
using UnityEngine;
public class Movement : MonoBehaviour
{
public float moveSpeed = 5f;
void Update()
{
Vector2 movement = new Vector2(Input.GetAxisRaw("Horizontal"),
Input.GetAxisRaw("Vertical")).normalized;
Move(movement);
}
private void Move(Vector2 direction)
{
transform.Translate(direction * moveSpeed * Time.deltaTime);
}
}
using UnityEngine;
using UnityEngine.InputSystem;
[RequireComponent(typeof(PlayerInput))]
public class Movement : MonoBehaviour
{
public float moveSpeed = 5f;
private InputAction moveAction;
void Awake()
{
// Unity6 テンプレートに含まれる "Player/Move" を利用
var playerInput = GetComponent<PlayerInput>();
moveAction = playerInput.actions["Move"];
}
void Update()
{
Vector2 movement = moveAction.ReadValue<Vector2>().normalized;
transform.Translate(movement * moveSpeed * Time.deltaTime);
}
}
- シーンを保存/Simpleな動作確認を行う。
この段階は「WebGL 出力がそもそも機能するか」の確認用なので、複雑なゲームでなくても大丈夫です。
2. WebGL モジュールのインストール
Webブラウザ向け出力(WebGL)を使うには、Unity Hub を使って該当 Unity エディターに「WebGL Build Support」モジュールを追加する必要があります。元記事でも手順あり。
手順:
- Unity Hub を起動 →「インストール済み」タブより対象バージョンの Unity エディターを選択
- 歯車(設定)ボタン → モジュールを追加 → “WebGL Build Support” をチェック → インストール
- インストール後、Unity エディターを再起動推奨
注意ポイント(最新)
- Unity のバージョンが 2019.3 以降 で WebGL 対応モジュールが必要となります。
- WebGL モジュールのインストールがうまく行っていないと、ビルド対象切り替え時に「No WebGL module loaded」など警告が出ます。
3. WebGL Publisher パッケージのインストール
ブラウザ公開をスムーズに行うために、Unity では “WebGL Publisher” というパッケージ(プラグイン)が提供されています。元記事でもこの手順を紹介しています。
パッケージ情報:
- パッケージ名: com.unity.connect.share(WebGL Publisher)
- バージョン例:4.2.3 など。
- インストール先:Unity Editor → Window → Package Manager → 検索または “Add package from git URL” を利用。
- インストールすると、Unityメニューに Publish > WebGL Project が追加されます。
最新の注意点:
- ビルドサイズの上限(例:ZIPアップロード時 500 MB)など制限があります。
- パッケージが見つからない/メニューが出ない場合は、Package Manager で “show preview packages” を ON にしたり、Git経由で URL指定するなどの対応が必要なケースがあります。
4. Unity エディターの再起動と設定チェック
モジュールやパッケージをインストールまたは変更したら、エディターを一旦再起動しておくのがおすすめです。元記事でも “再起動によって障害回避できる可能性” と記載があります。
さらに、以下のチェックをしておきましょう:
- プラットフォーム切り替えが WebGL に設定されているか確認(File → Build Settings → Platform: WebGL)
- シーンがビルド設定に追加されているか(Scenes in Build)
- ビルド出力先フォルダが明確か(例 “WebGL Builds”)
- パッケージマネージャーから WebGL Publisher が正常にインストールされ、有効か
- Unity アカウントでログイン済みか(WebGL Publisher の公開時に必要)
5. ビルド&公開(Unity Play へ)
ここが “公開” に至るメインパートです。以下の流れで作業します。
5.1 ビルド
- メニュー:File → Build Settings → Platform を WebGL に切り替え → Switch Platform
- Build ボタンを押す → 出力フォルダ(例:WebGL Builds)を指定し、ビルドを実行
- シーンが多かったりアセットが大きいと時間がかかるため、最初は小規模なものがおすすめ
5.2 公開
- Unity メニュー:Publish → WebGL Project(WebGL Publisher がインストール済みなら)
- プロジェクト名/説明/サムネイルなどを設定し、公開先として Unity Play を指定します。
- 公開後、URL が発行され、ブラウザでアクセス可能になります。
- 元記事でも「ワンクリックアップロード → URL共有で誰でもプレイ可能」「ポートフォリオとして転職活動に活用可能」などの利点を挙げています。
5.3 実行確認
- URL にアクセスしてゲームが正しく動作するか確認
- 例えば、Capsule が動く・スクリプト反応する等、基本的な動作チェック
- 公開された画面で「公開」「非公開」「限定公開」などの設定を確認
6. 公開後に注意すべき “制約・トラブル”
WebGL/Unity Play 公開には、通常のネイティブプラットフォームとは異なる制約・トラブルもあります。元記事でも「Webアプリの制約」「アップデートできない場合の対処」等が紹介されています。
以下、最新の注意点をまとめます。
6.1 制約について
- WebGL はメモリ制約・ブラウザ環境の違い・アセットロードの仕組みなど、ネイティブ版と異なります。
- ブラウザのセキュリティ制限(たとえば WebAssembly・JavaScript 変換など)があります。
- ビルドサイズが大きすぎると読み込みが重くなる、あるいは一部ブラウザでタイムアウト/失敗する可能性があります。
- WebGL Publisher の場合、アップロード可能な ZIP サイズ・アップロード時間などの制限があります。
6.2 トラブル・対処法
- ビルド後、ブラウザで動かない/クラッシュする場合:
- ビルドフォルダ(例 “WebGL Builds”)を削除して再ビルド。元記事でも “フォルダ削除+再試行” が手順として。
- Unity プロジェクトの Library フォルダを削除してキャッシュクリア。
- Unity エディターの再起動/Unity Hub の再ログイン。
- WebGL Publisher のバージョン・Package Manager の設定を見直す。
- 公開できない/更新できない場合:
- Unity Play 側のアカウント認証・プロジェクト設定(更新モードか新規公開か)を確認。
- アップロードファイルが大きすぎてタイムアウトになるケースあり。小分けにビルド/圧縮を工夫。
- 動作が重い/読み込みが遅い場合:
- アセットサイズの最適化(テクスチャ圧縮、モデルポリゴン削減、不要なオブジェクト削除)
- メモリ使用量・ロード処理をプロファイルし、WebGL向けの軽量化対応。
- ブラウザ互換性の問題:
- Chrome/Firefox/Edge などメジャーなブラウザで動作確認を行う。Safari では WebGL 実装が異なり不具合が出ることも。
- モバイルブラウザ対応が必要なら、タッチ入力・画面サイズ・ロード時間最適化を忘れずに。
7. 最新技術トレンド&追加Tips(2025年版)
公開ワークフロー以外にも、2025年時点で知っておくと便利なポイントをいくつか紹介します。
- Unity Play の活用:Unity Play は、ブラウザ上で “即プレイ可能な Unity プロジェクト” をホストできる無料(もしくはフリーミアム)プラットフォームです。 開発中のプロジェクトを共有してフィードバックを受けるポートフォリオ用途としても便利です。元記事でもその利点を強調しています。
- WebGL 出力におけるパフォーマンス改善:WebGL 出力では、ロード時間やメモリ使用量がネックになりがち。
- Addressables/Asset Bundles を使って、必要なアセットだけ読み込む
- 遅延ロード(Lazy Load)やストリーミングを検討
- WebGPU 対応ブラウザを想定しておく(将来的な対応)
- ブラウザ向け入力&UI設計:PC向けだけでなく、タッチデバイス/キーボード/マウス操作といった入力方式に対応しておくと、より幅広いプレイヤーがアクセスできます。
- SEO・共有性を意識したメタ情報追加:公開時にプロジェクト名・サムネイル・説明文を設定できるので、SNSやポートフォリオとして見せるならこのあたりも丁寧に。
- バージョン管理・更新手順の明確化:Web公開後の更新(アップデート)も考慮して、フォルダ構成・アセットの差分・ビルド番号などを管理しておくと、修正リリース時に混乱しません。元記事でも“ビルドフォルダ削除 → 再試行”など復旧手順が紹介されています。
まとめ
Unity を使って Web アプリ(ブラウザ向け)として公開する手順は、基本的な流れを押さえておけば比較的スムーズに進められます。ただし WebGL/ブラウザという特有の制約があるため、以下のポイントを特に意識しましょう:
- WebGL Build Support モジュールのインストール
- WebGL Publisher パッケージの導入と Unity Play 連携
- ビルド・公開後の動作確認・最適化
- 公開後の更新・トラブル対応のための運用設計
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません