Unity技術資料:電気工事従事者向け簡易回路接続シミュレーション

概要

この技術資料は、電気工事従事者向けに、Unityを使用して簡単な回路接続シミュレーションアプリを構築する手順を解説します。シミュレーションアプリは、ユーザーがドラッグ&ドロップでバッテリーと電球を接続し、接続の正確さを確認できるように設計されています。

開発環境

  • Unity (バージョン2021以降を推奨)
  • プログラミング言語:C#

1. プロジェクトの初期設定

  1. Unityの起動:Unity Hubから新規プロジェクトを作成します。
  2. テンプレート選択:3Dテンプレートを選択。
  3. プロジェクト名ElectricalCircuitSimulator
  4. 保存場所を選び、「Create」をクリックします。

2. シーンのセットアップ

Main Camera

  • 位置:(0, 5, -10)
  • 角度:(30, 0, 0)

Directional Light

  • 照明の明るさを適切に調整します(視認性向上のため)。

3. 回路パーツの作成

バッテリーパーツ

  • GameObject > 3D Object > Cube からCubeを作成します。
  • 名前を「Battery」に変更し、色を青に設定。
  • 位置:(0, 0, 0)
  • サイズ:(0.5, 0.5, 0.5)

電球パーツ

  • Cubeを新たに作成し、「LightBulb」と命名、色を黄色に設定。
  • 位置:(3, 0, 0)
  • サイズ:(0.5, 0.5, 0.5)

配線の作成

  • LineRendererコンポーネントを使用して、BatteryとLightBulbを接続する配線を表現します。
  • 配線の開始位置と終了位置は後述のスクリプトで設定します。

4. スクリプトの実装

CircuitManager.csの作成

  1. Scriptsフォルダを作成。
  2. 新規スクリプト「CircuitManager.cs」を作成し、以下のコードを記述します。
using UnityEngine;

public class CircuitManager : MonoBehaviour
{
    public GameObject battery;
    public GameObject lightBulb;
    public LineRenderer wire;

    private bool isConnected = false;

    void Start()
    {
        // 初期状態では配線を非表示に
        wire.enabled = false;
    }

    void Update()
    {
        if (Input.GetMouseButtonDown(0))
        {
            // バッテリーと電球が一定距離内にある場合、回路を接続
            if (!isConnected && Vector3.Distance(battery.transform.position, lightBulb.transform.position) < 3.0f)
            {
                ConnectCircuit();
            }
        }
    }

    void ConnectCircuit()
    {
        isConnected = true;
        wire.enabled = true;
        wire.SetPosition(0, battery.transform.position);
        wire.SetPosition(1, lightBulb.transform.position);

        // ランプを点灯状態に変更
        lightBulb.GetComponent<Renderer>().material.color = Color.yellow;
    }
}

5. スクリプトのアタッチ

  1. CircuitManagerオブジェクトを作成(GameObject > Create Empty)。
  2. CircuitManager.cs スクリプトをアタッチ。
  3. インスペクターから以下の設定を行います。
  • Battery:Batteryオブジェクトを設定
  • LightBulb:LightBulbオブジェクトを設定
  • Wire:LineRendererを設定

6. 動作確認

  1. Unityエディタで再生ボタンをクリック。
  2. BatteryとLightBulbが近づくと、自動的に配線が接続され、電球が点灯することを確認。

応用と拡張

複雑な回路の実装

  • スイッチや抵抗器を追加して、より実際の電気回路に近い動作をシミュレートできます。

エラーメッセージやガイド機能

  • 接続エラー時に警告メッセージを表示し、ユーザーがミスに気づけるようにする。

AR機能の追加

  • AR機能を活用し、現実世界の空間に仮想の電気回路を重ねて表示。スマートフォンやタブレットで現場と合わせて確認する機能を追加可能。

最後に

このシミュレーションは、電気工事従事者が安全に作業を行うためのスキル向上ツールとして活用できます。また、UnityとC#のスクリプトで簡単に機能拡張が可能であり、他の回路パーツや機能を追加することで、より現実的な訓練ツールとしての利用も期待できます。


以上が電気工事従事者向けの簡易回路接続シミュレーションの技術資料です。

Unity

Posted by hidepon