Visual Studio プロジェクトの物理フォルダーを安全にリネームする手順

2025年6月30日

1. TL;DR
2. なぜ “フォルダーまで” 揃えるのか
3. 事前準備チェックリスト
4. 手順詳細
5. Git 運用ベストプラクティス
6. ありがちな落とし穴と対策
7. まとめ

TL;DR

目的: プロジェクト論理名・アセンブリ名と物理フォルダー名をそろえて保守性を高める。
手順: ソリューションを閉じる → フォルダーを OS 側でリネーム → .sln をテキスト編集 → 参照エラーを確認 → Rebuild。
ポイント: Git ブランチを切る／大量の “削除＋追加” コミット対策、.sln 内の相対パス置換は一括検索で行う。

なぜ “フォルダーまで” 揃えるのか

可読性 – チームに新規参加した開発者が即座に構成を理解できる。
ツール連携 – CI/CD スクリプトやパス依存タスクがずれない。
リスク管理 – 将来のリポジトリ分割・パッケージ化の際、名前の不一致がマイグレーションコストを増やす。

事前準備チェックリスト

項目	確認方法
Git 運用	git status が clean／未コミットなし
VS バージョン	2022 以降推奨（.sln 書式互換性）
バックアップ	直前の git tag または ZIP アーカイブ
外部依存	パスをハードコードした PowerShell/CI スクリプトが無いか grep

手順詳細

1. ソリューションを閉じる

File > Close Solution または VS を終了。
理由: VS が .suo / 生成中の .vs キャッシュを保持しているとパス解決で競合が起きる。

2. エクスプローラーでフォルダーをリネーム

MyOldProject/ → MyNewProject/

Tips

Windows は大文字小文字を区別しないため “MyProject”→“myproject” の変更だけなら、一度別名に→Commit→再リネーム が安全。

3. .sln をテキストエディタで一括置換

.sln を VSCode / Notepad++ などで開く。
以下パターンを “フォルダー名 + 拡張子” ごと置換。

- Project("{GUID}") = "MyOldProject", "MyOldProject\MyOldProject.csproj", ...
+ Project("{GUID}") = "MyNewProject", "MyNewProject\MyNewProject.csproj", ...

上書き保存。

4. ソリューションを再オープン & ビルド

Visual Studio で .sln を開く。
黄色い三角警告 が出ていないか確認。
Ctrl+Shift+B で Rebuild。

Git 運用ベストプラクティス

# 1. ブランチを切る
git checkout -b rename-physical-folder

# 2. 論理名 → commit
git add MyOldProject.csproj
git commit -m "Rename logical project name (MyNewProject)"

# 3. 物理フォルダー → commit
git mv MyOldProject MyNewProject
git commit -m "Rename project folder to MyNewProject"

# 4. .sln 更新 → commit
git add *.sln
git commit -m "Fix solution paths after folder rename"

コミットを分割すると git blame で歴史が追いやすい。
pull request にすると CI が新パスで通るか事前確認できる。

ありがちな落とし穴と対策

症状	原因	対処
CS0246 名前空間が見つからない	Default namespace 未変更	Project > Properties > Application で修正
NuGet パッケージが復元失敗	packages.config 固定パス	PackageReference へ移行を検討
CI でビルドこける	YAML 内のハードコードパス	$(ProjectDir) マクロ／相対パスに置換