計算の万能ツール ― Math/ System.Math クラス

2025年7月22日

C# の Math クラスは “関数電卓” のような 静的クラス です。

• インスタンスを作らず（new しないで）そのまま Math.Abs(-3) のように呼び出します。
• ほとんどの戻り値は double 型。必要なら decimal 版（Math.Round(decimal) など）もあります。

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代表的な「定数」プロパティ

プロパティ	型	意味	例
PI	double	円周率 π ≈ 3.14159…	double r = 5; var area = PI * r * r;
E	double	ネイピア数 e ≈ 2.71828…	var exp1 = Math.Exp(1);  // e
Tau (.NET 6+)	double	円の一周角 2π	var rad = Math.Tau;

暗記は不要ですが、半径や角度を扱う場面で「手打ちの 3.14」より安全＆読みやすくなります。

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基本操作メソッド（抜粋）

1. 絶対値・大小・端数処理

メソッド	概要	例
Abs(x)	絶対値	Math.Abs(-7) → 7
Min(a,b) / Max(a,b)	小さい / 大きい方	Max(3,10) → 10
Clamp(v, min, max) (.NET 7+)	範囲に収める	Clamp(120, 0, 100) → 100
Floor(x)	小数点以下切り捨て	Floor(2.9) → 2
Ceiling(x)	小数点以上切り上げ	Ceiling(2.1) → 3
Round(x, digits?)	四捨五入（桁指定可）	Round(1.2345, 2) → 1.23
Truncate(x)	0 方向へ切り捨て	Truncate(-2.9) → -2

2. 乗算・冪・平方根

メソッド	概要	例
Pow(x, y)	x^y（べき乗）	Pow(2, 10) → 1024
Sqrt(x)	√x ― 平方根	Sqrt(49) → 7
Cbrt(x) (.NET 7+)	³√x ― 立方根	Cbrt(27) → 3

3. 指数・対数

メソッド	概要	例
Exp(x)	e^x	Exp(1) → 2.71828…
Log(x)	自然対数 ln x	Log(E) → 1
Log10(x)	常用対数 log₁₀	Log10(100) → 2
Log2(x) (.NET 5+)	log₂ x	Log2(8) → 3

4. 三角関数

メソッド	概要 (引数はラジアン)	例
Sin(x) / Cos(x) / Tan(x)	正弦・余弦・正接	Sin(PI/2) → 1
Asin(x) / Acos(x) / Atan(x)	逆三角関数	Atan(1) → π/4
Atan2(y, x)	(x,y) から角度	Atan2(1,1) → π/4
Hypot(x, y) (.NET 5+)	√(x²+y²) ― 斜辺長	Hypot(3,4) → 5

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よくある “つまずきポイント” とコツ

シーン	ありがちな誤解	コツ
角度	Sin(90) を書いて「0.893…」??	度ではなくラジアン：90°→ PI/2
丸め誤差	0.1 + 0.2 が 0.3 にならない	double は2 進数小数なので微小誤差が出る。比較は Math.Abs(a-b) < 1e-9 などの許容幅で
Round の規則	5 で必ず繰り上がると思ったら…	既定は「銀行丸め」。明示的に MidpointRounding.AwayFromZero を渡せば普通の四捨五入

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まず覚えたい 5 つ

1. Abs ― 絶対値
2. Min / Max ― 範囲チェック
3. Floor / Ceiling / Round ― 端数処理
4. Pow / Sqrt ― べき乗と平方根
5. Sin / Cos ― ゲームや物理で大活躍

ここを押さえると、座標計算・乱数生成・グラフ描画など多くの初級プロジェクトで困りません。

慣れてきたら Clamp や Hypot などモダン API も活用し、よりシンプルで読みやすいコードにしていきましょう。