VFX Graph技術資料


概要

VFX Graph (Visual Effects Graph) は、Unityにおける高度なビジュアルエフェクトを作成するためのツールです。GPUを活用したリアルタイム処理をベースに、膨大なパーティクルエフェクトを効率的に作成・管理できます。この資料では、VFX Graphの特徴、基本構造、実装方法、応用例について解説します。


主な特徴

GPUベースの高性能処理

  • GPUを利用して数百万のパーティクルを処理可能。
  • CPUに負荷をかけず、リアルタイムエフェクトを実現。

ノードベース設計

  • プログラミング不要。ノードを繋ぐだけでエフェクトを構築。
  • 直感的なUIで効率的に作業。

HDRP/URP対応

  • 主にHDRP向けに最適化。
  • URPでも使用可能(一部機能に制限あり)。

リアルタイムプレビュー

  • エフェクトを即時確認しながら編集可能。

カスタマイズ性

  • テクスチャ、ノイズ、力場などを用いた高度な制御。
  • メッシュやボリューメトリック表現をサポート。

基本構造

VFX Graphは以下のモジュールで構成されます:

モジュール名説明
Spawnerパーティクルの生成トリガー。生成頻度や条件を設定。
Initializeパーティクルの初期状態(位置、速度、サイズ、色など)を定義。
Updateパーティクルの挙動(時間経過による変化)を制御。力場やノイズの影響を設定可能。
Outputパーティクルの表示形式を決定(スプライト、メッシュ、ボリュームなど)。

利用例

利用シーン詳細
炎や煙のエフェクトリアルな煙や炎をシミュレーション。
爆発エフェクト火花、破片、衝撃波を伴う複雑な爆発表現。
魔法/SFエフェクトエネルギー波、ポータル、光線など抽象的なエフェクト。
液体シミュレーション水や流体のリアルな動きを再現。

導入方法

環境準備

  • Unity 2019.3以上を使用。
  • HDRPまたはURPプロジェクトを設定。
  • 「Visual Effect Graph」パッケージをPackage Managerでインストール。

基本設定

  • Projectビューで右クリック → Create → Visual Effects → Visual Effect Graph を選択。
  • 作成したVFX Graphをシーンに配置。

エフェクト作成

  • ノードを追加し、パーティクルの挙動や外観を設定。
  • 必要に応じて、テクスチャやマテリアルをカスタマイズ。

注意点

プラットフォーム依存

  • GPU性能に依存するため、モバイルデバイスなどでは負荷に注意が必要。

URPの制限

  • HDRPに比べ一部機能(ボリューメトリック表現など)が制限される可能性あり。

応用例の設定例

以下は基本的な「炎エフェクト」の作成例です:

Spawner

  • Constant Rateを使用し、1秒間に1000個のパーティクルを生成。

Initialize

  • パーティクルの初期位置をノイズテクスチャでランダム化。
  • 色をオレンジ~黄色のグラデーションに設定。

Update

  • パーティクルに上向きの力場を追加。
  • 時間経過でサイズを小さくし、透明度を低下させる。

Output

  • スプライトを使用し、炎のようなテクスチャを適用。

結論と参考資料

VFX Graphは、リアルタイムエフェクトの作成を大幅に簡略化する強力なツールです。特に高品質なビジュアルが求められるプロジェクト(ゲーム、映画、シミュレーション)に適しています。HDRPを活用することで、その能力を最大限に引き出せます。


参考リンク

C#

Posted by hidepon