「プログラムは“動く数式”だ—時間を止めて見ればわかる！」

2025年7月23日

はじめに：なぜ a = a + 1 がモヤモヤするの？

「算数の = と違うじゃん……」

たった 1 か月学んだだけでプログラムが難しく感じる最大の理由は、時間と状態変化があるからです。

数学の式は“いつでも真”ですが、プログラムは上から順に評価され、変数の中身が刻々と変わります。このギャップが “わからなさ” を生みます。

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1. 数学とプログラムはココが違う

観点	数学（式）	プログラム（命令列）
時間軸	同時・静止画	上→下へコマ送り
状態	変わらない前提	変数・オブジェクトが書き換わる
= の意味	恒等関係	代入（右辺→左辺）

ポイント：プログラムを理解するコツは「秒針をイメージ」すること。

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2. “時間” を見える化する３つの方法

方法	やり方	効果
ステップ実行	Visual Studio で F10 (1 行ずつ) / F11 (メソッドの中へ)	“今この瞬間”の値がわかる
手書きメモリ図	変数と値をノートに書き、変化するたび書き替える	状態遷移を視覚化
タイムライン図	横軸＝時間、縦軸＝変数やオブジェクト	誰がいつ変わるか俯瞰できる

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3. 一緒にやってみよう：カウンタを１ずつ増やす

int count = 0;        // ❶
count = count + 1;    // ❷
Console.WriteLine(count);

1. ❶ 変数 count が 0 でスタート
2. ❷ 右辺 count + 1 を計算 → 1
   • まだ左辺は書き換わっていません
3. 左辺に 1 を“貼り替え” → count が 1 に
4. 画面に 1 と表示

実際にデバッガで ❶→❷ の間で一時停止し、count のウォッチ値を見比べてみましょう。「動いている！」が体感できます。

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4. オブジェクト指向が混乱を呼ぶワケ

1. 状態保持が増える：クラスごとにフィールドがあり、メソッド呼び出しで変わる
2. メッセージの行き来：オブジェクト間で「頼むよ！」→「わかった！」という時間差
3. 設計図と実体：クラス（型）とインスタンス（実物）を区別する必要がある

コツ：クラス＝建築図面、インスタンス＝建っている家。図面は変わらないが家はリフォームで変わる――そう思うと腹落ちします。

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5. つまずきポイント別・セルフチェック

症状	チェック項目	処方箋
a = a + 1 が矛盾に見える	「= は矢印だ」と言える？	紙に今の値→次の値を書き出す
どこで値が変わったか迷子	ウォッチウィンドウ使えてる？	F10 で１行進めるたび声に出す
オブジェクト同士の呼び出しが追えない	タイムライン図を描いた？	呼ぶ側・呼ばれる側を色分け

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6. まとめ：時間を“止める”→“動かす”の往復練習

1. 止める：ステップ実行で静止画を確認
2. 動かす：連続実行で流れを感じる
3. 描く：メモリ図・タイムラインで第三者の視点に立つ

こうして「静止画」と「動画」を行き来すると、プログラムは“動く数式”としてスッと理解できます。つまずいたら秒針を止め、変数の中身をのぞいてみましょう。時間と状態の見える化が、わからなさを突破する最短ルートです。

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次のステップ

• 練習課題：カウンタをクラスにし、Increment() メソッドで状態を変える版を作ってみよう。
• 応用ヒント：純粋関数 (static int Add(int x, int y)) と比較すると “副作用があるコードは何が違うか” が見えてきます。

疑問や感想があればコメント欄へ！ 一緒に“時間を味方”につけていきましょう。