【C#】nullの学習
C#におけるnullに関する知識とノウハウについて説明します
nullとは
nullは、参照型の変数が何も参照していないことを意味します。
値型（例：int, bool）はnullを取ることができませんが、Nullable型（int?など）を使うことでnullを扱えます。
nullのチェック
nullをチェックするには、通常if文を使います。
if (object != null)
{
// objectがnullでない場合の処理
}nullの扱い方
Null合体演算子(??): nullの場合にデフォルト値を提供します。
string name = possibleNullValue ?? "デフォルト値";Null条件付き演算子(?.): nullの場合、後続のメソッドやプロパティへのアクセスをスキップします。
int? length = myString?.Length;Nullable<T>型: 値型にnullを許容します。
int? nullableInt = null;ベストプラクティス
明示的なnullチェック: null参照エラーを避けるために、オブジェクトにアクセスする前にnullチェックを行います。
nullの使用を最小限に: 不必要にnullを使うことは避け、可能であればnullの代わりにデフォルト値や特別なケースを用いることが望ましいです。
NullReferenceExceptionに注意: nullのオブジェクトにアクセスしようとすると、NullReferenceExceptionが発生します。これはよくあるランタイムエラーです。
C# 8.0以降のnull関連機能
非null参照型: デフォルトで参照型は非nullとみなされ、nullを許容するには?を型に付けます。
null許容参照型: プロジェクト設定で有効にすると、すべての参照型がデフォルトでnull許容になります。
これらの基本的な点を理解しておくと、C#でnullを適切に扱うことができます。また、nullに関連するエラーを避けるために、注意深くコーディングすることが重要です。
C# 8.0以降では、プロジェクトレベルでnull許容参照型（Nullable Reference Types）を設定できます。これにより、参照型の変数がデフォルトでnullを許容するか、またはnullを許容しないかを制御できます。設定方法は以下の通りです。
Null許容参照型の有効化
プロジェクトファイルの編集: .csproj ファイルを編集します。
<PropertyGroup>
<TargetFramework>net8.0</TargetFramework>
</PropertyGroup>Null許容の設定: <Nullable>タグを追加してenableに設定します。
<PropertyGroup>
<Nullable>enable</Nullable>
</PropertyGroup>この設定により、そのプロジェクト内のすべてのファイルでnull許容参照型が有効になります。
Null許容参照型の無効化
プロジェクトでnull許容参照型を無効にするには、<Nullable>タグをdisableに設定します。
<PropertyGroup>
<Nullable>disable</Nullable>
</PropertyGroup>これにより、プロジェクト内の参照型はデフォルトでnull非許容になります。
コードレベルでの制御
プロジェクト全体の設定に加えて、コード内で個別にnull許容を制御することもできます。例えば、特定のファイルやコードブロックでのみnull許容を有効にしたい場合は、以下のようにディレクティブを使用します。
#nullable enable
// Null許容が有効なコードブロック
#nullable restoreこれらの設定を通じて、nullに関する安全性とコードの明確性を向上させることができます。
Visual studioでの設定
Visual StudioでNull許容参照型（Nullable Reference Types）を設定する方法は以下のとおりです。
プロジェクトを開く: Visual Studioで対象のプロジェクトを開きます。
プロジェクトプロパティのアクセス: ソリューションエクスプローラーでプロジェクト名を右クリックし、「プロパティ」を選択します。
ビルドタブの選択: プロジェクトプロパティウィンドウで「ビルド」タブを選択します。
言語バージョンの設定: 「詳細設定」ボタンをクリックし、言語バージョンを「C# 8.0」以上に設定します。これはNull許容参照型を使用するための前提条件です。
Null許容の設定:
プロジェクトプロパティの「ビルド」タブ内にある「Null許容」ドロップダウンメニューから、有効、無効、警告、または設定なしを選択します。
有効を選択すると、Null許容参照型が有効になります。
無効を選ぶと、Null許容参照型が無効になります。
警告を選ぶと、null非許容型にnullが代入された際に警告が表示されます。
設定なしは、明示的な設定を行わないことを意味します（プロジェクトファイルの設定に従います）。
変更の保存: 設定を行った後、プロジェクトプロパティウィンドウを閉じて変更を保存します。
これで、Visual StudioのプロジェクトレベルでNull許容参照型の設定が完了します。これにより、null安全性を向上させることができ、nullに関連するバグやランタイムエラーを減らすことが可能になります。