【C#】Newtonsoft.Json.JsonSerializationException: Error getting value from ‘ScopeId’ on ‘System.Net.IPAddress’.エラーについて
IPAddressクラスをJsonで扱いたい場合に出る可能性があるエラーです
原因
Newtonsoft.Json.JsonSerializationExceptionのエラー「Error getting value from 'ScopeId’ on 'System.Net.IPAddress’」は、System.Net.IPAddressオブジェクトをシリアライズしようとした際に、IPv6アドレスのScopeIdプロパティのアクセスに失敗したことを示しています。この問題は、特にIPAddressオブジェクトがIPv6アドレスを含む場合に発生しやすく、Newtonsoft.Jsonがそのプロパティの値を取得しようとすると内部的にサポートされていない操作により例外が発生します。
解決策
実際にこの例外が発生している場合は、シリアライズプロセスでIPAddressオブジェクトを完全にカスタマイズして扱う必要があります。そのため、IPAddressオブジェクトのカスタムシリアライザーを作成し、使用するアプローチが適切です。
IPAddress用のカスタム JsonConverter の実装
System.Net.IPAddressオブジェクトのシリアライズとデシリアライズをカスタマイズするためのJsonConverterを実装することで、ScopeIdプロパティにアクセスする際の問題を回避できます。以下は、そのためのJsonConverter実装の例です
using Newtonsoft.Json;
using System;
using System.Net;
public class IPAddressConverter : JsonConverter
{
public override bool CanConvert(Type objectType)
{
return objectType == typeof(IPAddress);
}
public override void WriteJson(JsonWriter writer, object value, JsonSerializer serializer)
{
IPAddress ip = (IPAddress)value;
// IPAddress を文字列として直接シリアライズします。
writer.WriteValue(ip.ToString());
}
public override object ReadJson(JsonReader reader, Type objectType, object existingValue, JsonSerializer serializer)
{
// JSON 文字列から IPAddress オブジェクトをデシリアライズします。
return IPAddress.Parse((string)reader.Value);
}
}
このコードは、Newtonsoft.Jsonライブラリを用いてSystem.Net.IPAddressオブジェクトのカスタムシリアライズとデシリアライズのロジックを実装するためのJsonConverterの例です。IPAddressConverterクラスはJsonConverter抽象クラスを継承し、IPAddress型のオブジェクトをJSON形式にシリアライズおよびデシリアライズするための具体的な方法を提供します。
CanConvert メソッド
CanConvertメソッドは、このコンバータが特定の型のオブジェクト変換をサポートするかどうかを判断します。ここでは、Type引数に基づいて、対象の型がSystem.Net.IPAddressである場合にのみtrueを返すようにしています。これにより、このコンバータがIPAddressオブジェクトの変換にのみ使用されることが保証されます。
WriteJson メソッド
WriteJsonメソッドは、IPAddressオブジェクトをJSONにシリアライズする方法を定義します。このメソッドでは、IPAddressオブジェクトを文字列に変換(ip.ToString()を呼び出すことで)し、その文字列をJSONの値として書き込みます。これにより、IPAddressのシリアライズ表現はその文字列表現となります。
ReadJson メソッド
ReadJsonメソッドは、JSONデータからIPAddressオブジェクトをデシリアライズする方法を定義します。JSONから読み取った値(reader.Value)を文字列として解釈し、IPAddress.Parseメソッドを使用してその文字列からIPAddressオブジェクトを生成します。これにより、JSONに格納されたIPアドレスの文字列が適切なIPAddressオブジェクトに変換されます。
このカスタムJsonConverterの使用により、IPAddress型のプロパティを持つオブジェクトをシリアライズまたはデシリアライズする際に、Newtonsoft.Jsonによるデフォルトの処理方法ではなく、このカスタムロジックが適用されます。これは、特定の型に対するシリアライズ/デシリアライズの振る舞いをカスタマイズしたい場合に便利です。
カスタム JsonConverterの使用
シリアライズおよびデシリアライズのプロセスにこのカスタムJsonConverterを組み込むには、次のようにします:
var settings = new JsonSerializerSettings();
settings.Converters.Add(new IPAddressConverter());
var yourObject = new YourClassWithIPAddressProperty();
string json = JsonConvert.SerializeObject(yourObject, settings);
YourClassWithIPAddressProperty obj = JsonConvert.DeserializeObject<YourClassWithIPAddressProperty>(json, settings);
ここで、YourClassWithIPAddressPropertyは、IPAddress型のプロパティを含む任意のクラスです。このカスタムJsonConverterを使用することで、IPAddressオブジェクトをシリアライズおよびデシリアライズする際に、ScopeIdプロパティに関連する問題を回避しながら、IPv4およびIPv6アドレスの両方を適切に扱うことができます。
Serverクラス(YourClassWithIPAddressPropertyのサンプル)
Serverクラスは、System.Net.IPAddress型のプロパティを持つサンプルクラスです。このクラスを使用して、IPAddressプロパティを含むオブジェクトのシリアライズおよびデシリアライズを行うことができます。以下に、シンプルなサンプル実装を示します。
using System.Net;
internal class Server
{
public string Name { get; set; } // 例として他のプロパティも追加
public IPAddress IPAddress { get; set; } // IPAddress 型のプロパティ
// コンストラクター、メソッド、または他のプロパティをここに追加することができます
}
このコードは、Serverという名前のクラスを定義しています。このクラスは、サーバーの名前とIPアドレスを表す2つのプロパティを持っています。具体的には、以下の機能と構造を持っています。
プロパティ
Nameプロパティ- このプロパティは、サーバーの名前を表す
string型です。プロパティはpublicアクセス修飾子を持っているので、クラスのインスタンスが作成されたどこからでもアクセスして読み書きが可能です。例えば、サーバーの名前を"Example Server"のように設定したり、取得したりすることができます。
- このプロパティは、サーバーの名前を表す
IPAddressプロパティ- このプロパティは、サーバーのIPアドレスを表す
System.Net.IPAddress型です。IPAddress型は.NETのクラスライブラリに定義されており、IPアドレスを表現するための豊富な機能を提供します。このプロパティを使用して、サーバーのIPv4またはIPv6アドレスを設定および取得することができます。
- このプロパティは、サーバーのIPアドレスを表す
拡張性
- コメントに示されているように、このクラスにはコンストラクタ、メソッド、その他のプロパティを追加することができます。これにより、サーバーに関連する追加の情報を保持したり、特定の動作を実装したりすることが可能です。例えば、サーバーの稼働状態を確認するメソッドや、サーバーに接続するためのメソッドなどが考えられます。
アクセス修飾子
internalアクセス修飾子により、このクラスは定義されているアセンブリ(プロジェクト)内からのみアクセス可能です。つまり、このクラスを定義しているプロジェクト内の他のクラスからはインスタンス化したり、使用したりすることができますが、異なるプロジェクトからは直接アクセスすることはできません。
このクラスの定義は、オブジェクト指向プログラミングにおけるカプセル化の原則を利用しています。プロパティを通じて、クラスの内部状態(この場合はサーバーの名前とIPアドレス)へのアクセスを制御し、外部からの直接的なアクセスを防ぎます。これにより、クラスの使用法を明確にし、不適切な使用を防ぐことができます。
Server オブジェクトの使用例
以下のコードは、Serverオブジェクトを作成し、それをシリアライズおよびデシリアライズする方法の例を示しています。カスタムIPAddressConverterを使用して、IPAddressプロパティを適切に扱います。
using Newtonsoft.Json;
using System.Net;
var instance = new Server
{
Name = "Example Server",
IPAddress = IPAddress.Parse("192.168.1.1") // IPv4 アドレスの例
};
var settings = new JsonSerializerSettings();
settings.Converters.Add(new IPAddressConverter());
// オブジェクトを JSON 文字列にシリアライズ
string json = JsonConvert.SerializeObject(instance, settings);
Console.WriteLine(json);
// JSON 文字列からオブジェクトにデシリアライズ
Server deserializedInstance = JsonConvert.DeserializeObject<Server>(json, settings);
Console.WriteLine($"Name: {deserializedInstance.Name}, IPAddress: {deserializedInstance.IPAddress}");
このコードは、Newtonsoft.Jsonライブラリを使用して、カスタムのIPAddressConverterを利用してServerクラスのインスタンスをJSONにシリアライズし、またJSONからデシリアライズするプロセスを実装しています。Serverクラスには少なくともNameとIPAddressの2つのプロパティがあることが想定されています。
ステップバイステップの解説
Serverインスタンスの作成Serverクラスの新しいインスタンスを作成し、Nameに"Example Server"という値を、IPAddressには"192.168.1.1"(IPv4アドレス)をパースして設定しています。
- シリアライズ設定の定義
JsonSerializerSettingsオブジェクトを作成し、Convertersコレクションに先ほど定義したIPAddressConverterを追加しています。この設定は、IPAddressオブジェクトをカスタマイズした方法でシリアライズおよびデシリアライズする際に使用されます。
- オブジェクトのシリアライズ
JsonConvert.SerializeObjectメソッドを使用して、instanceをJSON文字列にシリアライズしています。このプロセスでは、settingsに定義されたカスタムコンバータ(IPAddressConverter)がIPAddressプロパティのシリアライズ方法を制御します。
- シリアライズされたJSONの出力
- シリアライズされたJSON文字列をコンソールに出力しています。この文字列には、
ServerインスタンスのNameとIPAddressの値が含まれます。
- シリアライズされたJSON文字列をコンソールに出力しています。この文字列には、
- オブジェクトのデシリアライズ
JsonConvert.DeserializeObject<Server>メソッドを使用して、JSON文字列からServerクラスのインスタンスにデシリアライズしています。ここでも、settingsによりIPAddressConverterが使用され、JSON中のIPアドレス文字列が適切にIPAddressオブジェクトに変換されます。
- デシリアライズされたオブジェクトの内容の出力
- デシリアライズされた
ServerインスタンスのNameとIPAddressプロパティの値をコンソールに出力しています。
- デシリアライズされた
コードの意義
このコードは、特定のデータ型(この場合はSystem.Net.IPAddress)に対してカスタムのシリアライズおよびデシリアライズロジックを適用する方法を示しています。標準的なシリアライズプロセスでは適切に処理できない複雑な型や、特別な形式でのデータ表現が必要な場合に、このようなカスタムコンバータの使用が非常に有効です。また、このアプローチはデータの整合性を保ちつつ、柔軟なデータ処理を実現するための一例としても参考になります。
実行結果
{"Name":"Example Server","IPAddress":"192.168.1.1"}
Name: Example Server, IPAddress: 192.168.1.1
JSONデータ
{"Name":"Example Server","IPAddress":"192.168.1.1"}
このJSONデータは、Serverというオブジェクトのシリアライズされた形式です。ここには2つのプロパティが含まれています:
"Name": "Example Server"は、サーバーの名前を表す文字列プロパティです。"IPAddress": "192.168.1.1"は、サーバーのIPアドレスを表す文字列プロパティです。この例では、IPv4アドレスの形式で、ローカルネットワーク内のデバイスを指す一般的なアドレスです。
コンソール出力
Name: Example Server, IPAddress: 192.168.1.1
この出力は、上記のJSONデータをデシリアライズして得られたServerオブジェクトの内容を示しています。Nameプロパティが"Example Server"に、IPAddressプロパティが"192.168.1.1″に設定されていることがわかります。これは、JsonConvert.DeserializeObject<Server>(json, settings);メソッドを使用してJSON文字列からServerオブジェクトに変換した結果です。
まとめ
このプロセスは、データをテキストベースの形式(この場合はJSON)で簡単に交換し、保存できる方法を示しています。JSONは軽量で人間にも読みやすい形式であり、様々な言語やプラットフォーム間でのデータ交換に広く使用されています。IPAddressConverterカスタムコンバーターを使用することで、特殊なデータ型(この例ではSystem.Net.IPAddress)も適切にシリアライズおよびデシリアライズされ、正確なデータ表現として扱うことが可能になります。
参考)NewtonJsonからSystem.Text.Jsonにライブラリ変更した場合
このコードは、.NETのSystem.Text.Jsonライブラリを使用して、System.Net.IPAddress型のオブジェクトのカスタムシリアライズとデシリアライズを行うための実装を示しています。特に、System.Text.Jsonは標準ではIPAddressオブジェクトを直接シリアライズ/デシリアライズする方法を提供していないため、JsonConverter<T>を継承したカスタムコンバーターを作成することでこの機能を実現します。
IPAddressConverterクラス
using System.Net;
using System.Text.Json;
using System.Text.Json.Serialization;
public class IPAddressConverter : JsonConverter<IPAddress>
{
public override IPAddress Read(ref Utf8JsonReader reader, Type typeToConvert, JsonSerializerOptions options)
{
string ipAddressString = reader.GetString();
return IPAddress.Parse(ipAddressString);
}
public override void Write(Utf8JsonWriter writer, IPAddress value, JsonSerializerOptions options)
{
writer.WriteStringValue(value.ToString());
}
}
JsonConverter<IPAddress>を継承し、IPAddress型のオブジェクトのシリアライズとデシリアライズの処理をカスタマイズします。Readメソッドでは、JSONから読み取った文字列をIPAddress.Parseを用いてIPAddressオブジェクトに変換します。これにより、JSON形式のIPアドレス文字列をIPAddress型のインスタンスにデシリアライズできます。Writeメソッドでは、IPAddressオブジェクトを文字列に変換し(value.ToString())、その文字列をJSONに書き込みます。これにより、IPAddress型のインスタンスがJSON形式でシリアライズされます。
MySerializationOptionsクラス
using System.Text.Json;
public class MySerializationOptions
{
public static JsonSerializerOptions Options => new JsonSerializerOptions
{
Converters = { new IPAddressConverter() }
};
}
JsonSerializerOptionsのインスタンスをカスタマイズし、IPAddressConverterをコンバーターのリストに追加します。これにより、System.Text.JsonのシリアライズおよびデシリアライズのプロセスでIPAddress型のカスタム処理が有効になります。Optionsプロパティは、JsonSerializerOptionsの新しいインスタンスを生成し、そのインスタンスにIPAddressConverterを追加することで、カスタムシリアライズオプションを提供します。
using System.Net;
using System.Text.Json;
// シリアライズの例
IPAddress ipAddress = IPAddress.Parse("192.168.1.1");
string jsonString = JsonSerializer.Serialize(ipAddress, MySerializationOptions.Options);
// デシリアライズの例
IPAddress deserializedIPAddress = JsonSerializer.Deserialize<IPAddress>(jsonString, MySerializationOptions.Options);
Console.WriteLine(deserializedIPAddress);
このカスタムコンバーターとシリアライズオプションを使用することで、System.Text.JsonでIPAddress型のオブジェクトを適切にシリアライズおよびデシリアライズすることが可能になります。これは、.NET Core 3.0以降で利用可能なSystem.Text.Jsonライブラリを使って、特定の型に対してカスタマイズされたシリアライズ処理を実装したい場合に有用です。
使用例
このコードは、System.Text.Jsonを使用してSystem.Net.IPAddressオブジェクトをJSONにシリアライズし、その後でJSONからIPAddressオブジェクトにデシリアライズする例を示しています。System.Text.Jsonは、.NET Core 3.0以降で利用可能な、高性能なJSON処理ライブラリです。
シリアライズの例
IPAddress.Parse("192.168.1.1")により、文字列からIPAddressオブジェクトを生成しています。この場合、"192.168.1.1"はIPv4アドレスを表します。JsonSerializer.Serialize(ipAddress, MySerializationOptions.Options)を使って、生成したIPAddressオブジェクトをJSON文字列にシリアライズしています。MySerializationOptions.Optionsはカスタムのシリアライズオプションを提供するものとして想定されており、これによりシリアライズの挙動を細かく制御できます(たMySerializationOptions.Optionsの実装内容は、上記クラスを参照)。- シリアライズされたJSON文字列をコンソールに出力しています。
デシリアライズの例
JsonSerializer.Deserialize<IPAddress>(json, MySerializationOptions.Options)を使用して、シリアライズされたJSON文字列からIPAddressオブジェクトにデシリアライズしています。ここでもMySerializationOptions.Optionsを使用していますが、デシリアライズの挙動をカスタマイズするためのオプションとして機能します。- デシリアライズされた
IPAddressオブジェクトをコンソールに出力しています。
注意点
System.Text.Jsonは標準の.NETライブラリであり、System.Net.IPAddressのような複雑な型も扱えますが、カスタムのシリアライズ/デシリアライズオプションが必要になる場合があります。特に、IPAddress型はSystem.Text.Jsonのデフォルト設定では直接シリアライズ/デシリアライズできないため、カスタムの処理を追加する必要があります。MySerializationOptions.Optionsはこのコードスニペット内で定義されていないため、IPAddress型のシリアライズ/デシリアライズを適切に処理するために必要なカスタマイズ内容については、上記クラスを参照してください。実際には、カスタムのJsonConverter<IPAddress>をJsonSerializerOptionsに追加することで、IPAddress型の処理をカスタマイズする必要があります
実行結果
"192.168.1.1"
192.168.1.1
もっと簡単に・・・
実は、Jsonで管理するIPアドレスを文字列型に変換することで、この問題を回避できます。エラーメッセージにあるように、System.Net.IPAddress オブジェクトの ScopeId プロパティにアクセスしようとした際に、System.Net.Sockets.SocketException が発生しています。これは、IPAddress オブジェクトを直接 Json にシリアライズしようとすると、Json.NET (Newtonsoft.Json) が内部的に IPAddress のプロパティにアクセスしようとするために起こりますが、ScopeId は IPv6 アドレスにのみ存在するプロパティであり、その使用は特定の状況に限られます。
この問題を回避するために、IPAddress オブジェクトを文字列に変換してから Json にシリアライズすることが推奨されます。これにより、IPAddress の複雑な内部構造を気にせずに済み、シリアライズプロセスが簡素化されます。IPAddress.ToString() メソッドを使用して IP アドレスを文字列に変換できます。
using System.Net;
// 例えば、このように IP アドレスを取得します
IPAddress ipAddress = IPAddress.Parse("192.168.1.1");
// IPAddress を文字列に変換します
string ipAddressString = ipAddress.ToString();
// 文字列化した IP アドレスを Json にシリアライズします
string json = JsonConvert.SerializeObject(ipAddressString);
この方法を採用することで、ScopeId プロパティへのアクセスによって引き起こされる JsonSerializationException と SocketException を避けることができます。また、IP アドレスの取り扱いがシンプルになり、クライアントサイドでのデシリアライズも容易になります。





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