GitHub統合フローの違い ～GitHub Desktopとプルリクエストの比較～
本資料では、GitHubにおけるコード統合の方法について、GitHub Desktopでのローカル作業とGitHubのプルリクエスト（PR）を利用した統合作業の違いと特徴を解説します。各手法の操作場所、実施タイミング、履歴への影響、利用シーンなどを整理し、プロジェクトやチームの運用に合わせた適切な選択の参考としてください。
目次
1. はじめに
Gitを利用した共同開発では、複数のブランチに分かれて作業を行った後、最終的に変更を統合する必要があります。
統合の方法としては、ローカル環境でGitHub Desktopを用いてマージやリベースを実施する方法と、GitHub上のプルリクエストを利用して統合する方法があります。
それぞれのアプローチにはメリットと注意点があるため、以下で詳細に比較・解説します。
2. GitHub Desktopでの統合作業
2.1 作業の概要
- 操作場所:
ローカル環境での操作となり、作業ブランチに対して直接マージまたはリベースを実行します。 - 統合方法:
- マージ: mainブランチの最新変更と作業ブランチの変更を統合し、新たなマージコミットを作成する。
- リベース: 作業ブランチのコミットを、mainブランチの最新状態の上に順次再適用し、履歴を線形にする。
2.2 操作手順の例
- マージの場合
- mainブランチの更新: GitHub Desktop上でmainに切り替え、リモートリポジトリから最新の変更をPull。
- 作業ブランチに切り替え: 作業中のブランチに戻る。
- マージの実行: 上部メニューの「Branch」から「Update from main」を選択し、マージコミットを作成する。
- コンフリクト解消: 必要に応じて、GitHub Desktopの指示に従いコンフリクトを解決。
- リベースの場合
- mainブランチの更新: GitHub Desktopでmainブランチを最新状態にする。
- 作業ブランチに切り替え: 作業中のブランチに戻る。
- リベースの実行: 上部メニューの「Branch」から「Rebase onto main」または「Rebase current branch…」を選択。
- コンフリクト解消: リベース中に発生したコンフリクトを解消し、リベースを再開。
- 履歴の確認: リベース完了後、Historyタブで線形化されたコミット履歴を確認。
2.3 利用シーン
- 個人作業や短期間の開発、あるいはリモートとの同期前にローカルでmainの最新変更を取り込む際に有効です。
- 履歴の細かい管理や調整を自分のペースで行える点がメリットです。
3. プルリクエストでの統合作業
3.1 作業の概要
- 操作場所:
GitHubのWebインターフェース上で、リモートリポジトリに対して実施されます。 - 統合方法の選択肢:
プルリクエストでは、以下の統合方法が選択可能です。 - マージコミット: 通常のマージ操作。統合時にマージコミットが作成され、ブランチ統合の履歴が明示的に残る。
- スクワッシュマージ: 複数のコミットを1つにまとめて統合し、履歴をシンプルに保つ。
- リベースマージ: 作業ブランチのコミットをmainブランチの上に再適用し、履歴を線形にする。
3.2 操作手順の例
- プルリクエストの作成:
作業ブランチの変更をmainブランチへ統合するため、プルリクエストを作成します。 - コードレビューと承認:
チームメンバーによるコードレビューやテストが行われ、承認されると統合の準備が整います。 - 統合操作の実行:
承認後、GitHubのWeb UI上で統合操作を実行します。
- 統合方法の選択は、プロジェクトの設定や管理者の方針により自動的または手動で決定されます。
- 選択された方法により、最終的なコミット履歴が作成されます。
3.3 利用シーン
- チームでの共同開発において、コードレビューや承認プロセスを経た後の最終的な統合に適しています。
- プロジェクト全体の履歴管理や変更の承認が必要な場合に利用されます。
4. GitHub Desktopとプルリクエストの違いと注意点
| 項目 | GitHub Desktopでの作業 | プルリクエストでの統合 |
|---|---|---|
| 操作場所 | ローカル環境 | GitHubのWebインターフェース |
| 実施タイミング | 自分のタイミングで随時実施 | チーム内のレビュー・承認後に実施 |
| 統合方法 | マージまたはリベース | マージコミット、スクワッシュマージ、リベースマージなど複数の選択肢が存在 |
| 履歴への影響 | ローカルでのコミット履歴に直接影響（操作前に確認可能） | 統合後の履歴はプロジェクト全体に影響。設定により履歴の形が変わる |
| 利用シーン | 個人作業、短期の同期、細かい履歴管理に最適 | チーム開発、コードレビューを含む最終統合の際に最適 |
- GitHub Desktopの場合は、ローカル環境で自分のペースで統合操作を行えるため、事前に履歴の変化を確認しながら作業できます。
- プルリクエストの場合は、統合前にコードレビューや承認プロセスが入り、最終的な統合方法がプロジェクトのポリシーに沿って決定されるため、全体の履歴管理において一貫性が保たれます。
5. まとめ
- GitHub Desktopでの作業は、ローカル環境で自分でマージやリベースを実行し、細かい履歴操作が可能です。
- プルリクエストでの統合は、チーム全体の承認プロセスを経てGitHub上で統合され、複数の統合方法（マージコミット、スクワッシュ、リベースマージ）から選択されます。
プロジェクトの運用ルールやチームの方針に応じて、最適な統合方法を選択することで、効率的かつ一貫性のある開発フローを実現しましょう。