プログラミング学習の効果を爆上げする — 予習・復習ルーティン完全ガイド
はじめに
「コードを書いているはずなのに、授業の内容が翌週にはあいまいになっている」――そんな経験はありませんか?
プログラミングは“積み上げ型”のスキルです。前の授業の理解が弱いまま次へ進むと、後で巨大なバグのように跳ね返ってきます。本記事では、短時間でも確実に理解を深め、知識を長期記憶へ定着させる予習・復習法を紹介します。対象は C# と Unity を学ぶ初学者ですが、他言語でも応用できます。
1. 予習:インプットの“摩擦”を下げる準備運動
ステップ | 目安時間 | 具体的な行動 | ポイント |
---|---|---|---|
1. シラバス確認 | 5分 | 次回テーマ(例:クラスとインスタンス)を読み、到達目標をメモする | 「どこが分かるようになれば合格か」を先に知る |
2. 用語チャージ | 10分 | 教材や MSDN でキーワード(class / object / new など)をざっと検索し、一文メモを作る | 完璧に理解しなくて良い。“聞いたことある”状態を作る |
3. 環境セットアップ | 5分 | Visual Studio で空のコンソール/Unity プロジェクトを開き、動作確認 | 授業開始直後のつまずきを防ぐ |
4. ミニ予測クイズ | 5分 | 「new 演算子は何をしている?」など自問し、答えを“仮決め” | 授業中に答え合わせする癖をつける |
予習は“疑問のタネ”を仕込む時間です。完璧さより“引っ掛かり”を用意することに集中しましょう。
2. 復習:記憶曲線を味方に付ける 3 段ロケット
2-1. 即時リキャップ(授業直後 30 分以内)
ノートや Git のコミット履歴を見返し、「今日のハイライト 3 行」を書く
- IDE のデバッグ履歴を消さずに もう一度ステップ実行
- 不明点を “質問箱”リストに追記(48 時間以内に必ず講師・仲間に聞く)
2-2. 24 時間リフレッシュ
- 同じサンプルをゼロから打ち直す
- 変更点を試す(引数を変える、フォーマットを変える)
- エラーが出たら スクショ+原因+解決策を Markdown にメモ
2-3. 週末サマリー
- 1 週間のコードをプルリクエストにまとめ、説明文で「今週学んだこと」「来週の疑問」を書く
- Qiita などにアウトプット。人に見せる前提で書くと理解が 2 段深まる
3. 予習・復習を回すツールキット
ツール | 主な用途 | コツ |
---|---|---|
Git & GitHub | コードとメモを時系列管理 | “1 機能=1 Commit”で要約文を書く |
Visual Studio / Rider | ブレークポイント・ウォッチ | Debugger.Break() で強制停止し内部状態を確認 |
Unity Play Mode | インスペクタで変数を確認 | **「Pause → 変数変更 → Resume」**で挙動を観察 |
Obsidian / Notion | 学習ログ | “今日の学び・バグ・解決”テンプレを用意 |
Anki | キーワード暗記 | 1 カード=「質問:static と const の違いは?」 |
Anki は 「忘れる前に最適なタイミングで復習を出題する」 間隔反復(Spaced Repetition)アルゴリズムを採用した、オープンソースのフラッシュカード学習ソフトです。名前は日本語の「暗記」から取られています。デスクトップ版は Windows/macOS/Linux で無料、カードや学習統計は SQLite 形式で保存されます。
学習効率を高める仕組み
- SM-2 → FSRS アルゴリズム従来の SM-2 を改良し、最新の 25.07 系からは FSRS(Free Spaced Repetition Scheduler)が標準実装され、より細かい間隔調整が可能になりました。
- アクティブリコール (能動想起) を促し、短期記憶から長期記憶への定着を加速。
主な機能
機能 | 概要 |
---|---|
デッキ & ノート | 教材単位(デッキ)と「カード雛形+フィールド」(ノート)で構成。C# キーワード集、Unity API など用途別に分けられる。 |
カードタイプ | Basic(一問一答)、Cloze(穴埋め)、コードハイライト対応カードなどを選択。 |
メディア | 画像・音声・動画・LaTeX 数式も埋め込み可。 |
アドオン | 1,600 以上。例:コード整形、FSRS 調整、統計グラフ拡張など。 |
同期 | 無料の AnkiWeb サービスで PC・スマホ間を自動同期。オフライン派はローカル同期サーバも利用可。 |
プラットフォームと価格(2025 年 7 月現在)
- デスクトップ版(v25.07.3、2025-07-21)— 無料。Qt 6.9 への更新で macOS のクラッシュを修正ほか多数改善。
- AnkiDroid(Android)— 無料/FOSS、最新版 2.21 系が公開中。
- AnkiMobile(iOS)— 開発支援のため有料 US$24.99(日本の App Store で約 ¥3,600 前後)。
注意: 「AnkiApp」は別会社の別アプリで Anki とは無関係。混同しないように。
プログラミング学習での活用例
- C# キーワード
- フロント: async
- バック: 「非同期メソッドを宣言。Awaitable 型を返す」+最小コード例
- Unity ショートカット
- フロント: Ctrl + P
- バック: 「Play モード切替」
- コード Cloze
var items = orders.{{c1::Where}}(o => o.Price > 100);
- → Where を思い出して入力。
- アルゴリズム手順(例:A* 検索の各ステップ)
導入手順(デスクトップ版)
- 公式サイトからインストーラをダウンロードしインストール。
- 初回起動後に 日本語 UI を選択。
- 「デッキを作成」→「ノートタイプを選択」→カードを追加。
- 同期設定 ボタンを押し、AnkiWeb アカウントを作成。
- 毎日 5〜15 分のレビューを習慣化。
よくある質問
質問 | 回答 |
---|---|
1 日の上限枚数は調整できる? | [設定]→[復習の上限] で変更可。学習負荷に合わせて調整。 |
カードが増えすぎたら? | デッキ分割・タグ絞り込み・「一時デッキ」機能で整理。 |
バックアップは? | 自動バックアップ+外部エクスポート(.apkg)を併用すると安心。 |
まとめ
Anki は 「忘却曲線を逆手に取る」 ツールです。コード・API 名・設計原則など、“思い出す練習”が効く情報をカード化しておくと、授業や案件で即座に引き出せる知識ストックが築けます。
次のステップ
- まずは「C# 基本文法」デッキを 20 枚ほど作り、1 週間レビューを回してみましょう。
4. 6 か月コース用:サンプル週間スケジュール
曜日 | 予習 (15分) | 授業 | 復習 (30分) |
---|---|---|---|
月 | 次回トピック確認 | 配列 & ループ | クイックメモ+再入力 |
水 | キーワード検索 | クラス入門 | ブレークポイント実験 |
金 | 理論クイズ | Unity でクラスを使う | サンプル改造+Git PR |
5. よくある質問(FAQ)
- 「時間が足りません」→ 予習は “用語を 3 つ調べるだけ”でも OK。授業中の吸収率が変わります。
- 「復習してもすぐ忘れる」→ 実行+アウトプットが不足。手を動かし、誰かに説明する形で必ず残しましょう。
- 「エラーで詰まって先に進めない」→ “質問箱”リストを作り、翌授業前までに講師へ共有。抱え込まないが鉄則です。
おわりに
予習・復習は「やる気」ではなく “仕組み”で回します。上記ルーティンをカレンダーとタスク管理ツールに登録し、まず 2 週間続けてみてください。理解の深さとコーディング速度が確実に向上するはずです。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません