現場の“いま”: GUI中心+最小限のCLIで回すGit運用ガイド(2025年版)
結論
2025年現在、.NET/C#チームの標準は「GUIを日常運用の主体、CLIは復旧と高度操作の安全網」です。Microsoft は Visual Studio の Git 統合を継続強化しており、GitHub Desktop も高頻度で更新。GUIだけでコミット〜PR〜コンフリクト解消まで日常業務が完結します。一方で、事故時のリカバリや自動化では最小限のCLI素養があると盤石です。
目次
なぜGUI中心に寄せるのか
- .NET公式体験がGUI前提Visual Studioの公式ドキュメントはGit運用をIDE内で完結する前提で整備・更新されています(履歴・リセット・タグ・マージ衝突の解消まで)。
- コンフリクトもエディタで解消VSのMerge Editorで衝突箇所を可視化しつつ選択適用・手動編集が可能。CLIより安全に学びやすい。
- クライアントが活発に進化GitHub Desktop は2025年も継続リリース。日常のコミット取り消し・リセット・部分コミットなどがGUIで可能。
補足:Microsoft/GitHubが「CLIを使うな」とは言っていません。ただ実務の“標準操作”はGUIに最適化され、ガイドもGUI前提で磨かれているのが現状です。
それでもCLIを残す理由(最小限でOK)
- フル機能と復旧力はCLIが最後の砦たとえば「Discard changes(変更破棄)」後の復元。GitHub Desktopは破棄した差分をOSのゴミ箱/Trashに退避しますが、状況によってはreflog等のCLIでの救出が必要になることがあります。
- CI/CDや自動化、ヘッドレス環境の前提Git公式「giteveryday」は“毎日使う最小コマンド”を提示。必要最小限のCLIを押さえておけば十分。
安全第一のガードレール(必須設定)
- ブランチ保護(main/dev)
- 強制push禁止 / 削除禁止
- PR必須(承認レビュー必須)
- ステータスチェック必須(CI緑以外はマージ不可)
- 線形履歴の要求(必要に応じて)GitHubのBranch protection rulesで一括管理。GUI/CLIどちらのミスもサーバ側で防げます。
- IDE側のGit設定を統一チーム推奨のDiff/Mergeツール、ユーザー名/メール、pull時の方針(–rebase等)をVSの設定で合わせる。
日常フロー:GUIだけで回す“標準手順”
① 変更 → 差分確認 → 意味のあるコミット
- Visual StudioのGit Changesで差分を確認し、関連変更だけをまとめてコミット。部分コミットはGitHub Desktopでも可能。
② Pull(方針を統一:rebase か merge)→ 作業
- チームでpull方針を決めて統一。設定はVSのGit設定で管理。
③ PR作成 → レビュー → CI通過 → マージ
- ルールはブランチ保護で強制。レビューやチェックを通らない限りマージできない。
④ コンフリクト発生時
- VSのMerge Editorで可視的に解消。解決後にテストし、PRを更新。
⑤ 変更破棄(誤編集の取り消し)
- GitHub DesktopのDiscardはOSのTrash/Recycle Binに退避→必要なら戻せる。削除済み・特殊ケースはreflogで救出検討。
事故時プレイブック(最小CLIセットつき)
よくある“やってしまった”と対処
- 誤コミットした:GitHub DesktopのUndo/Reset/Revertを使う(GUI)。
- Discardしすぎた:OSのゴミ箱/Trashから復元。見当たらなければgit reflog→git reset等で救済(CLI)。
- 履歴の状態を確認したい:git log / git reflog(CLI)。
“覚えるだけ”の最小CLI
# 状態確認
git status
git log --oneline --graph --decorate
# ブランチ操作
git switch -c feature/x
git switch main
# 同期
git fetch --all
git pull --rebase
git push
# 一時退避と取り消し
git stash push -m "wip" # 必要なら
git restore . # 作業ツリーの変更を戻す
# 事故からの復旧(慎重に)
git reflog # 直近のHEAD移動履歴を確認
git reset --hard <hash> # その状態へ戻す(破壊的)
※上はGit公式「giteveryday」の思想に沿った“最小限の毎日コマンド”を意識しています。
チーム導入ロードマップ(教育カリキュラム付)
- Phase 1|GUI速習(半日)VS/GitHub Desktopで:Clone→Branch→Commit(部分コミット)→PR→レビュー→マージ→同期。
- Phase 2|ガードレール構築(半日)Branch protection をmain/devに適用。チェック項目(レビュー・CI)を合意。
- Phase 3|CLI“保険”の訓練(半日)reflog→resetの演習、pull –rebaseやstashの使いどころをハンズオン。
よくある疑問
- 「GUIだと細かいことができない?」日常は十分カバー。足りない場面はピンポイントでCLIに切り替える方が安全。
- 「Discardは怖い」GitHub Desktopは破棄差分をOSのTrash/Recycle Binへ退避。まずはそこを確認し、無ければreflogで救出を試みる。
- 「会社ルールとしての裏付けが欲しい」GitHubのBranch protectionで運用拘束を仕組み化できます。レビュー必須・CI必須・線形履歴など。
まとめ
- 普段はGUI(VS / GitHub Desktop)で安全・高速に。
- 復旧・自動化は最小限のCLIで担保。
- サーバ側のブランチ保護で“事故らない設計”を先に固める。
この3点を押さえるだけで、ミスに強く学習コストも低いGit運用が実現します。
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