予習も復習もしたのに「わからない」— その“もやもや”の正体を言語化する
目次
1. そもそも「わからない」とは何が起きている状態か?
感じ方 | 脳内で起きていること | 典型的な声・行動 |
---|---|---|
真っ白 | 前提知識が抜けており、ワーキングメモリがいきなり飽和 | 「どこがわからないかも分からない」 |
ぼんやり霧がかかる | 用語や手順は見たことがあるが、相互の関係が結べない | 「単語は読めるのに意味がつながらない」 |
鎖が途切れている | 流れの中の 一部分 だけが抜け、ロジックの橋渡しに失敗 | 「if で分岐するのは分かるけど、この変数がどう変わるの?」 |
ガラス越し | 理解の錯覚(fluent reading)が起き、手は動かない | 「説明を読めば分かった気になるのにコードが書けない」 |
2. 予習復習をしても“霧”が晴れない 4 つの理由
- 入力は増えたが “出力” が無い
- 教材を 読む・見る だけ → 受動的インプット
- 能動的アウトプット(タイピング・口頭説明・デバッグ)が不足
- 前提知識の穴埋めが後回し
- 変数・制御構文の理解が浅いまま OOP に進む → 上位概念が浮かない
- 抽象度ミスマッチ
- 具体例ばかり追い、抽象モデル(クラス図・データフロー)を持てない
- 逆に理論だけ追い、具体的なキーボード操作と結びつかない
- メンタルモデルが更新されない
- 間違えた理解を修正せず積み上げる “砂上の楼閣”
- 毎回「写経」して動くので 動く ≠ 分かる と錯覚
3. 「わからない」を可視化するチェックリスト
チェック項目 | OK? | 解像度が足りない場合のヒント |
---|---|---|
① 誰かに 3 行で説明できる | 説明できなければ用語定義をカード化(Anki など) | |
② 手ぶらで再現コーディングできる | サンプル無しで 5 行だけでも書いてみる | |
③ 入力→処理→出力を図解できる | 紙に矢印を書き、変数の値を流す | |
④ 1 行ずつデバッグで値を読める | F10 で止め、ウォッチに値を入れて声に出す | |
⑤ エラー時に原因候補を 2 つ列挙できる | 「Null か範囲外か」など仮説を書く |
4. 霧を晴らす 3 ステップ学習サイクル
- 能動化 – “写経+改造”
// 教材コード
for(int i = 0; i < 3; i++) { ... }
// 自分で改造
for(int i = 5; i >= 0; i -= 2) { ... }
- 数値・順序を変えて挙動を確認。動きを自分の言葉で実況する。
- 言語化 – “口頭デバッグ”
- ブレークポイントで停止 → 「今 i は 3、だから次に if が…」 と口に出す
- ズレたらそこが霧の発生源
- 外化 – “図 & 質問箱”
- クラス図やフローチャートにする
- 説明できない線を質問箱へ即記入 → 次回授業や ChatGPT で解消
5. 心理的ハードルとの向き合い方
感情の壁 | 具体策 |
---|---|
「また分からなかったら恥ずかしい」 | 1 日 1 質問ルールを設定し“量”で慣れる |
完璧主義で手が止まる | “30 分タイマーで雑に動かす” → 動いたらリファクタリング |
エラー恐怖症 | “バグは教材”と書いた付箋を PC に貼り、遭遇数をカウントゲーム化 |
まとめ
- わからない=情報が足りない だけでなく、結びつきが弱い 状態。
- 霧を晴らす鍵は 受動 → 能動 → 外化 の循環。
- 「分かったつもり」を検知する最短テストは “説明できるか/書けるか”。
次のアクション
- 今学んでいる単元を “3 行説明→手ぶらコーディング” で自己テスト。
- 詰まった箇所は図解して質問箱へ。講師やペアと 5 分ディスカッションしてみよう。
「わからない」を“正体不明の闇”にせず、可視化→分割→検証 のサイクルに乗せれば、予習復習の努力が確実に血肉になります。
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