Unity「Inspector」と右クリックの「Properties」の違いを、実務視点で整理する
TL;DR
- Inspector=“現在の選択に追従”する標準ビュー。選択を変えると中身が切り替わる(🔒で表示固定も可)。
- Properties=右クリックから開く対象固定の独立ウィンドウ。選択を変えても表示は変わらない。複数同時に開け、並べて比較・同時編集に強い。
- どちらで編集しても同じオブジェクトに即時反映。機能面は基本同等で、違いは“選択追従”か“ウィンドウ固定”か。
背景
レベル設計やUI調整では「Aを見ながらBを触る」「似たオブジェクト同士を横並びで比較する」など、複数のインスペクションを同時に扱う場面が多々あります。Unity ではそれを実現する手段が二つあります。
- いつもの Inspector(検査) タブ
- コンテキストメニューの Properties(プロパティ) ウィンドウ
本記事では、IgaguriGenerator の例を使いながら、両者の違いと使い分けを実務的にまとめます。
用語整理:二つの見え方
1) Inspector(選択追従型)
- 対象:現在選択しているオブジェクト(GameObject / アセット)
- 切替:選択変更で内容が切り替わる
- 固定:右上の🔒(Lock)で一時固定できる
- 利用例:普段の単体編集、選択をどんどん切り替えて作業したいとき
2) Properties(対象固定・独立ウィンドウ)
- 対象:右クリックしたオブジェクトに固定
- 切替:選択を変えても内容は変わらない
- 複数:複数枚を同時に開ける(各ウィンドウがそれぞれ固定)
- 利用例:Aを見比べながらBを編集/二つのPrefab設定を並べて比較/Aの値を見ながらBに手打ちで反映 など
早見表(比較)
観点 | Inspector | Properties |
---|---|---|
対象の切替 | 選択に追従 | 固定(右クリック時の対象) |
ウィンドウ数 | 1枚(追加は可能だが通常は1) | 必要数だけ開ける |
典型用途 | 日常的な単体編集 | 並べて比較・同時編集・監視 |
固定手段 | 🔒で一時固定 | ウィンドウ自体が固定 |
表示内容 | 基本同じ(同じコンポーネント群) | 同左 |
反映タイミング | 即時 | 即時(同じ実体を編集) |
補足:Window > General > Inspector からInspectorタブを増やし🔒で固定しても、実質「Properties と同じ運用」が可能です。“とりあえず比較したい”だけならどちらでもOK。右クリックの Properties はワンステップで素早く“対象固定ビュー”が作れるのが強みです。
操作手順
Properties を開く
- Hierarchy で IgaguriGenerator を右クリック
- コンテキストメニュー最下部の Properties をクリック
- 独立した Properties ウィンドウが開く(ドッキング/フロート可)

Inspector を固定する(代替手段)
- ふつうに選択して Inspector を表示
- Inspector 右上の 🔒 をクリックして表示を固定
- 以後、選択を変えても内容は切り替わらない(再度🔒解除で追従に戻る)
実務での使い分けシナリオ
ケース1:二つのオブジェクトを横並びで比較
- IgaguriGenerator を Properties で開いて固定
- もう一方を通常の Inspector で選択追従
- 並べて差分(Transform / スクリプト設定 / レイヤー等)を確認
ケース2:Prefab A の設定を見ながら Prefab B を編集
- A を Properties に固定
- B を選択して Inspector で調整
- A の値を見て B に手打ち反映/部品ごとにCopy/Paste Component Values(コンポーネント右上メニュー)も活用
ケース3:値を“監視”しながら別作業
- target の Properties を片隅に置いて値の変化を監視
- その間、別のオブジェクトを選択して作業(Inspector は追従)
便利テク
- 複数 Properties:右クリック → Properties を対象ごとに繰り返せば、3枚、4枚と並べて比較可能。
- ドッキング/フロート:画面構成に合わせて、上部タブにドッキングしたり、別ディスプレイにフロート。
- コンポーネント単位のコピー:各コンポーネントの「︙」メニューから
- Copy Component → 別ウィンドウ側で Paste Component As New
- Copy Component → Paste Component Values(同型コンポーネントの値だけ上書き)
- Prefab Overrides:Prefab インスタンスなら Overrides(または差分 UI)も同様に操作可能。Properties でも同様に反映されます。
注意:対象オブジェクトを削除すると、その Properties ウィンドウは参照切れになります(再度開き直し)。
よくある質問
Q. Properties で編集した内容は、Inspector と食い違いませんか?
A. 食い違いません。両者は同じ実体を編集しており、相互に即時反映されます。
Q. “Properties じゃないとできない”特別な機能はありますか?
A. 基本的にはありません。見た目と固定方法の違いが中心です。ワークフロー上の使い分けが本質です。
Q. Inspector を複数出すのと、Properties を複数出すのはどちらが良い?
A. どちらでも。右クリック一発で固定したいなら Properties、レイアウト保持やタブ運用をしたいなら Inspector を増やして🔒、という使い分けが快適です。
まとめ
- 日常の単体編集は Inspector(必要時🔒で固定)。
- 比較・監視・同時編集が欲しいときは、右クリックの Properties を複数開く。
- どちらで触っても同じ実体を編集するため、反映は即時で一貫。
- 画面レイアウトと癖に合わせて、“固定ビューをどう作るか”を選べば作業効率が上がります。
付録:最小手順(今回の例)
- Hierarchy で IgaguriGenerator を右クリック
- Properties をクリック → 固定ウィンドウが開く
- 別のオブジェクトを選択して Inspector で編集
- 二つのウィンドウを並べて比較・同時編集する
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