子オブジェクトのイベント処理実装
以下は、子オブジェクト毎のイベント処理の実装手法を、引数なし/引数ありの両パターンとして、以下の3つの方式(個別スクリプト方式、親通知方式、UnityEvent方式)の資料になります。
次の資料の続きになります
目次
1. 個別スクリプト方式
1-1. 引数なしの実装
各子オブジェクトに専用のスクリプトをアタッチし、イベント発生時に単にログ出力などの固定処理を実装する例です。
メリット・デメリット(引数なし)
- メリット
- 実装がシンプルで分かりやすい
- 各子オブジェクトで直接制御できる
- デメリット
- イベント詳細(相手情報など)を活用できない
- 変更が必要な際、各スクリプトの修正が必要
1-2. 引数ありの実装
イベント発生時に、引数としてイベント情報(例:衝突相手のColliderやCollision情報)を利用して処理を行う例です。
メリット・デメリット(引数あり)
- メリット
- イベント詳細情報を柔軟に利用できる
- 各子オブジェクトでイベントの発生状況を正確に把握可能
- デメリット
- 実装が各スクリプトに分散するため、共通処理の変更が煩雑になる可能性がある
2. 親通知方式
子オブジェクト側でイベントが発生した際に、親オブジェクトへ通知し、親側で一元管理・分岐処理を実装する方式です。
2-1. 引数なしの実装
子側スクリプト
親側スクリプト
メリット・デメリット(引数なし)
- メリット
- 親側で一元管理でき、全体の流れが把握しやすい
- 実装がシンプル
- デメリット
- イベントの詳細情報が通知されないため、処理内容が限定的
2-2. 引数ありの実装
カスタムイベントデータクラス
子側スクリプト
親側スクリプト
メリット・デメリット(引数あり)
- メリット
- イベント詳細情報を親側で一元管理できるため、柔軟な共通処理や分岐が可能
- カスタムクラスで複数の引数をまとめて渡せる
- デメリット
- SendMessageは型安全性に欠け、パフォーマンスやデバッグが難しい場合がある
- 親側での分岐処理が複雑になる可能性がある
3. UnityEvent方式
UnityEventを利用することで、Inspector上から直感的にイベントの割り当てが可能となり、プログラマー以外のメンバーも設定可能な方式です。
3-1. 引数なしの実装
メリット・デメリット(引数なし)
- メリット
- エディタ上で直感的にメソッドをドラッグ&ドロップで割り当て可能
- シンプルな実装で、柔軟性に優れる
- デメリット
- イベント詳細情報(例:衝突相手など)を受け取ることができない
3-2. 引数ありの実装
事前定義:パラメータ付きUnityEventクラス
子側スクリプト
インスペクター設定例
- 各子オブジェクトに
ChildEventTrigger_WithArgs
をアタッチ - Inspector上の「On Child Trigger」や「On Child Collision」に、引数(ColliderまたはCollision型)を受け取る対象メソッドをドラッグ&ドロップで設定
メリット・デメリット(引数あり)
- メリット
- 引数付きイベントをエディタ上で柔軟に設定可能
- 非プログラマーでもイベントの割り当てが直感的に行える
- 再利用性、保守性が高い
- デメリット
- 大量に使用するとシリアライズのオーバーヘッドが増加する可能性
- 複雑なロジックにはコードで直接制御したほうが明確な場合がある
まとめ
- 個別スクリプト方式
- 引数なし:シンプルな実装で各子ごとの固定処理に最適
- 引数あり:イベント詳細を活用し、柔軟な個別処理を実装可能
- 親通知方式
- 引数なし:親で一元管理する際のシンプルな通知方法
- 引数あり:カスタムデータクラスを用いて、詳細情報を親側で一括管理可能
- UnityEvent方式
- 引数なし:エディタ上で直感的に設定でき、シンプルな実装が可能
- 引数あり:パラメータ付きUnityEventにより、柔軟かつ再利用性の高いイベント管理を実現
各手法は、プロジェクトの要件やチームの運用体制に合わせて選択してください。どの方式も、引数の有無を含めた柔軟なイベント処理が実現でき、シーン内の子オブジェクト毎の挙動を細かく制御することが可能です。
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