Visual Studioで逆アセンブリコードに日本語コメントが表示される理由とは?
.NETでプログラミングしていると、List<T> や Console.WriteLine などのライブラリの定義を「F12」キーや「定義へ移動」で表示することがあります。そのとき、内部のコードに日本語のコメントが表示されて驚いたことはありませんか?
この記事では、Visual Studioがなぜそのような表示をするのかを、初心者にもわかりやすく解説します。
1. そもそも表示されているのは本物のソースコード?
Visual Studioでライブラリの中身を見たとき、次のようなコードが表示されることがあります:
// 指定された文字列が null または空文字列 ("") かどうかを示します。
public static bool IsNullOrEmpty(string value);
このコメント、誰が書いたの?どうやって表示されているの?と不思議に思うかもしれません。
実は、表示されているのは2つのどちらかです:
種類 | 説明 | コメントの言語 |
---|---|---|
① GitHub上の本物のソースコード | Microsoft公式が公開している.NETのC#コード | 英語 |
② ILからの逆アセンブル(Disassembly) | DLLファイルをC#に復元したコード | 日本語 or 英語(Visual Studioの言語による) |
2. なぜ日本語のコメントが表示されるのか?
Visual Studioは、ライブラリの情報を表示する際に、次の2つのリソースを組み合わせています。
① IL(中間言語)からの逆アセンブル
- .dll に含まれているIL(中間言語)から、C#形式のコードに変換して表示。
- 本物のC#ソースコードが取得できない場合に使用されます。
② XMLドキュメントコメント(日本語翻訳付き)
- .dll に付属する .xml ファイルには、各メソッドの説明文が含まれています。
- Visual Studioは、現在のUI言語(日本語や英語)に合わせて、コメントを自動的に表示してくれます。
- つまり、日本語のコメントは、このXMLファイルから取得されているのです。
3. コメントの言語はどうやって決まるの?
Visual Studioの表示言語が「日本語」に設定されていると、可能な限り日本語のコメントが表示されます。
表示言語を「英語」に変更すると、コメントも英語に切り替わります。
設定を変更するには:
- [ツール] → [オプション]
- [環境] → [国際対応の設定]
- 言語を「英語(English)」に変更 → 再起動
4. GitHubの本物のソースコードを表示する方法
Visual Studioは .NET ライブラリの本物のC#ソースコードを、GitHubから直接取得して表示する機能も持っています。
これを実現するのが Source Link(ソースリンク) という仕組みです。
有効にする方法:
- [ツール] → [オプション]
- [デバッグ] → [一般]
- 「ソース サーバーを有効にする」にチェックを入れる
これにより、「定義へ移動(F12)」を実行したときに、GitHub上の公式ソースコードが英語で表示されます。
5. 実際に見比べてみよう
表示モード | 内容 | コメント例 |
---|---|---|
逆アセンブル(日本語UI) | ILから再構築+XMLコメント | // 配列の要素数を取得します。 |
Source Link(英語UI) | GitHub上のソースコード | /// Gets the number of elements in the array. |
まとめ
Visual Studioで表示される「.NETライブラリのコードに日本語コメントがついている」現象は…
- 逆アセンブル機能とXMLドキュメントの組み合わせによるもの
- 表示言語が日本語なら、日本語コメントが自動で表示される
- Source Link を使えば、本物のC#ソースコード(英語)も確認できる
という仕組みになっています。
補足:初心者の方へ
「定義へ移動(F12)」や「逆アセンブル表示」は、ライブラリの使い方を理解するうえで非常に役立ちます。
ぜひ、表示されたコメントを手がかりに、ライブラリの動作を読み解く練習をしてみましょう!
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