C# フィールド変数とブロックスコープの学習資料

2025年1月31日

C# のプログラムをしっかり理解するには、フィールド変数のスコープだけでなく、ブロックスコープについても学ぶ必要があります。
この資料では、フィールド変数のスコープとブロックスコープの違いを解説し、具体例と練習問題を用意しました。

1. スコープとは？

スコープとは、変数が有効な範囲（アクセスできる範囲）のことです。
C# では、変数のスコープには大きく以下の4種類があります。

2. フィールド変数のスコープ

フィールド変数（メンバ変数）は、クラス内のすべてのメソッドでアクセス可能ですが、アクセス修飾子によって制限できます。

サンプルコード

using System;

class Person
{
    // フィールド変数（クラス内のどこでもアクセス可能）
    private string name;
    public int age;

    public void SetName(string newName)
    {
        name = newName; // フィールド変数を変更
    }

    public void ShowInfo()
    {
        Console.WriteLine($"名前: {name}, 年齢: {age}");
    }
}

class Program
{
    static void Main()
    {
        Person p = new Person();
        p.age = 30;
        p.SetName("太郎");
        p.ShowInfo();  // 名前: 太郎, 年齢: 30
    }
}

ポイント

✅ name は private なので Program から直接アクセス不可。
✅ SetName() を使って name を変更できる。
✅ age は public なので、Program から直接アクセス可能。

3. ブロックスコープとは？

ブロックスコープとは、{} で囲まれた範囲内でのみ有効な変数のスコープです。
ループや条件分岐、メソッド内部の {} で定義された変数は、そのブロック内でのみ使えます。

サンプルコード

using System;

class Program
{
    static void Main()
    {
        int x = 10;

        {
            int y = 20;
            Console.WriteLine(x); // OK（外のスコープの変数は使える）
            Console.WriteLine(y); // OK
        }

        // Console.WriteLine(y); // エラー（y はブロック外なので使えない）
    }
}

ポイント

✅ y は {} 内で定義されたので、その外では使えない。
✅ x は Main() の中で定義されたので、ブロックの内外で使える。

4. for ループのスコープ

for ループ内で定義された変数は、そのループの中でのみ有効です。

サンプルコード

using System;

class Program
{
    static void Main()
    {
        for (int i = 0; i < 3; i++)
        {
            Console.WriteLine(i);
        }

        // Console.WriteLine(i); // エラー（i は for ループのブロック内だけで有効）
    }
}

ポイント

✅ i は for ループの {} 内でしか使えない。
✅ i をループの外でも使いたい場合は、外で宣言する必要がある。

外で使いたい場合の修正

using System;

class Program
{
    static void Main()
    {
        int i; // ループの外で宣言
        for (i = 0; i < 3; i++)
        {
            Console.WriteLine(i);
        }
        Console.WriteLine($"ループの後の i: {i}"); // OK
    }
}

✅ i をループの外で宣言すると、ループ後も使用可能になる。

5. if や while でのブロックスコープ

if 文や while 文の {} で定義された変数は、その中でのみ使えます。

サンプルコード

using System;

class Program
{
    static void Main()
    {
        if (true)
        {
            int num = 100;
            Console.WriteLine(num); // OK
        }
        // Console.WriteLine(num); // エラー（num は if のブロック内のみ有効）
    }
}

✅ num は if 文の {} 内でのみ使える。

6. フィールド変数とブロックスコープの違い

7. 練習問題

Q1. 次のコードの出力を予想してください

using System;

class Sample
{
    int num = 10;

    void Show()
    {
        int num = 20;
        Console.WriteLine(num);
    }

    static void Main()
    {
        Sample s = new Sample();
        s.Show();
    }
}

1. 10
2. 20
3. エラーになる
4. コンパイルできない

Q2. for ループの後に i を使うとエラーになるのはなぜ？

1. i は static 変数ではないから
2. i は for ループのブロックスコープ内にあるから
3. i は readonly だから
4. for の外に i が宣言されていないから

Q3. 次のコードはエラーになりますか？

using System;

class Program
{
    static void Main()
    {
        {
            int x = 10;
        }
        Console.WriteLine(x);
    }
}

1. 10 が表示される
2. エラーになる
3. 何も表示されない
4. プログラムが停止する

8. まとめ

✅ フィールド変数 → クラス全体でアクセス可能
✅ ローカル変数 → メソッド内でのみ有効
✅ ブロックスコープ → {} 内でのみ有効
✅ static 変数 → クラス全体で1つの値を共有

これで、フィールド変数とブロックスコープをしっかり理解できます！

using System;

class Sample
{
    int num = 10;

    void Show()
    {
        int num = 20;
        Console.WriteLine(num);
    }

    static void Main()
    {
        Sample s = new Sample();
        s.Show();
    }
}

using System;

class Program
{
    static void Main()
    {
        for (int i = 0; i < 3; i++)
        {
            Console.WriteLine(i);
        }
        Console.WriteLine(i); // ここでエラー
    }
}

using System;

class Program
{
    static void Main()
    {
        int i; // ループの外で宣言
        for (i = 0; i < 3; i++)
        {
            Console.WriteLine(i);
        }
        Console.WriteLine($"ループの後の i: {i}"); // OK
    }
}

using System;

class Program
{
    static void Main()
    {
        {
            int x = 10;
        }
        Console.WriteLine(x);
    }
}

using System;

class Program
{
    static void Main()
    {
        int x; // ブロックの外で宣言
        {
            x = 10; // ブロック内で代入
        }
        Console.WriteLine(x); // OK
    }
}