講師として感じる日本のIT人材不足と、AI時代に伸びる人の共通点
最近、「IT人材不足」という言葉を本当によく聞きます。ニュースでもそうですし、企業の採用ページでもよく見ます。
でも、職業訓練校で日々受講生を見ていると、少し違う景色も見えます。
確かに人は足りない。それは間違いないと思います。ただ、企業が欲しがっている人材像は、ここ数年、特にAIの進化でかなり変わってきたな、と感じています。
今回は、日本のIT人材の現状と、AI時代に伸びる人の共通点について、講師として思うことを書いてみます。
日本にIT人材は何人いるのか
まず、日本でIT関連職と呼ばれる人が何人いるのか。定義によって数字はかなり変わりますが、ソフトウェア開発に関わる人材だけでも、かなり大きな規模です。
- ソフトウェアエンジニア
- プログラマ
- インフラエンジニア
- クラウドエンジニア
- セキュリティエンジニア
- AIエンジニア
- データサイエンティスト
つまり、IT業界は一部の特殊な人だけの世界ではありません。それだけ社会に深く入り込んでいる業界だということです。
それでも人手不足なのはなぜか
そんなに人がいるのに、なぜ不足するのか?
現場感覚としては、「人がいない」というより、欲しい人が足りないに近い気がしています。この違い、結構大きいです。
足りないのは「自走できる人」
企業が欲しいのは、単にコードを書ける人ではありません。例えば、
- Gitが使える
- チーム開発ができる
- 他人のコードが読める
- 問題を切り分けられる
- 分からないことを調べられる
言い換えると、指示待ちではなく、自分で前に進める人です。私はこれを「自走力」と呼んでいます。
同じ未経験でも、詰まったら止まる人と、詰まっても調べて前進する人では、伸び方がかなり違います。
AIで何が変わったか
2026年の今、ここにAIが入ってきました。ChatGPT・Claude・GitHub Copilot、このあたりですね。正直、AIにコードを書かせるだけなら、かなりできるようになりました。
じゃあ新人はいらない? という話ではありません。むしろ、新人に求められる能力が変わった、と感じています。
AI時代に伸びる人
講師をしていて思うのは、伸びる人には共通点があります。
1. 質問がうまい
AI相手でも、人相手でも同じです。伸びる人は、何をしたか・何が起きたか・どこで詰まったかを説明できます。実際、C#の文法が多少あやしくても、状況説明が上手い人は伸びます。
2. エラーで止まらない
エラーが出た瞬間に「もう分かりません」となる人もいます。でも伸びる人は違います。まず読む。そして考える。
- どこで起きた?
- 何を変えた?
- 直前まで動いていた?
この習慣があります。これはAI時代ほど重要です。なぜならAIも普通に間違えるからです。
3. 学び続けられる
IT業界って変化が速いです。必要なのは「全部知っている人」ではなく、知らなくても学べる人です。私は、こちらの方が重要だと思っています。
AI時代だからこそ、基礎に戻る力が重要
AIが進化すると、「もう基礎を学ばなくてもいいのでは?」と思う人もいるかもしれません。私は、むしろ逆だと思っています。
AIは間違えます。しかも、かなりそれっぽく間違えます。一見正しそうなのに、実は無駄に複雑だったり、設計過剰だったりすることも珍しくありません。
AIはすぐ、Interface・Repository・Service層・Factory…みたいに盛りがちです。もちろん必要なケースもありますが、「いや、これ配列1本で済まない?」と思うこともあります。
Repositoryパターンとは「データを取りに行く係を別クラスに分ける設計」のこと。ただし、小さいアプリでは無理に使わなくてもいい。
そんな時に必要なのが基礎です。この変数は何を持っているのか、このif文は何を判定しているのか、このループは何回回るのか——こうした基礎に戻れる人は強いです。
複雑な問題ほど、最後は基礎に戻る。これは、AI時代ほど重要になると思っています。
講師として思うこと
昔は、文法を覚える・手で全部書く・暗記する、この比重が大きかったと思います。もちろん基礎は今でも大事です。ただ、今はそれに加えて、
- なぜそのコードになるのか
- AIの答えを信じていいのか
- おかしい時どこを見るのか
を考える力がかなり重要です。AIが書いたコードを理解できなければ、結局使いこなせません。ここは、今後ますます重要になる気がしています。
まとめ
IT人材不足と言われていますが、不足しているのは単にコードを書く人ではなく、AIを使いながら、自分で考えて進められる人だと感じています。
職業訓練校で教えていて思うのは、最初から優秀な人が伸びるとは限らない、ということです。むしろ、
- 素直に学べる
- 分からないと言える
- 試行錯誤を続けられる
そんな人が、最後に強くなります。AI時代になっても、それは変わらない。いや、むしろ以前より大事になっている。そして、分からなくなった時に戻る場所は、結局いつも基礎です。









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