GitHubアカウントのメールアドレスをスクール用から個人用に変更してアカウントを維持する方法
1. はじめに
最初に登録したスクールのメールアドレスが卒業後に使えなくなる場合でも、アカウントを自分の所有のまま維持するためには、メールアドレスを自身のものに変更してプライマリに設定する方法が有効です。本資料では、その具体的な手順と注意点をまとめています。
2. 概要
- 目的:スクール配布のメールアドレスが使えなくなる前に、GitHubアカウントのメールを個人用に切り替え、アカウントや既存リポジトリをそのまま維持する。
- 効果:通知や認証メールが個人のメールに届くようになり、ログインに問題が発生しなくなる。
- ポイント:
- 新しい(個人)メールアドレスを追加し、GitHub上で認証する
- 追加したメールを「プライマリメール」に設定する
- 旧スクール用メールを不要であれば削除する
- ローカルリポジトリの user.email を新メールに切り替えておく
3. 具体的手順
3.1. 新しいメールアドレスを追加して認証する
- GitHubにログインし、画面右上のプロフィールアイコンをクリックして Settings(設定) を開く。
- 左側メニューから Emails を選択。
- 「Add email address」の入力欄に、自身の個人用メールアドレスを入力して Add をクリック。
- 送られてくる確認メール内のリンクをクリックし、追加したメールアドレスを認証する。
追加後に表示される“Verified”のバッジを確認し、メールが正常に認証されたことを必ず確認してください。
3.2. プライマリメールアドレスを個人用に変更する
- 引き続き Settings > Emails の画面を開く。
- 「Primary email address」のドロップダウンから先ほど追加・認証した個人用メールアドレスを選択し、Save をクリック。
これにより、GitHubからのすべての通知(プルリクエストのコメント、Issueの更新、セキュリティ警告など)や、パスワードリセット用メールはすべて個人用メールに送信されるようになります。
3.3. 旧スクール用メールアドレスの削除(不要であれば)
旧スクール用メールアドレスを削除する前に、必ず以下の点を確認してから操作してください。
- 新しいプライマリメールで通知が届いているか
- 二要素認証(2FA)やリカバリー用メールが旧スクール用メールに依存していないか
以下では、とくに「2FA(Two-Factor Authentication)が旧スクール用メールに依存していないか」を、GitHub の最新 UI で確認する手順を解説します。お使いの画面で「Access」という見出しが表示されていない場合もあるため、画面に現れているメニュー名を直接たどる方法で説明します。
1. GitHub の設定画面へ移動する
- GitHub にサインインした状態で、画面右上のプロフィールアイコンをクリックします。
- 表示されたドロップダウンから 「Settings(設定)」 を選択します。
2. 2FA(Two-Factor Authentication)設定を確認する
以下の手順では、「Settings → Password and authentication(または日本語 UI では「パスワードと認証」)」というメニュー項目を使って 2FA の状態を確認します。
- 左側のサイドバーに並んでいる項目の中から、
- 「Emails(メールアドレス)」
- 「Password and authentication(パスワードと認証)」という名前が見えていると思います。
- まずは 「Password and authentication(パスワードと認証)」 をクリックしてください。
- もし日本語 UI をお使いであれば、左メニューに「パスワードと認証」という日本語表記になっていることがあります。
- 画面右側の表示が切り替わり、
Password
Passkeys
Two-factor authentication ←ここ(有効/無効)が表示されているはず
Sessions
SSH and GPG keys
Organizations
Moderation
といったセクションが縦に並んでいるページになります。
- 「Two-factor authentication(2FA)」のセクションを探します。
- ここに「Enabled(有効)」や「Disabled(無効)」と表示されていることがあります。
- もし「Disabled」と表示されていれば、2FA を登録していない状態なので依存するメールもありません。
- 「Enabled」と表示されていれば、次の手順でリカバリーコードなどを確認します。
2.1. リカバリーコード(Recovery codes)の確認
- 「Two-factor authentication」欄のすぐ下に、たとえば次のような表示があります:
Preferred 2FA method: Authenticator app
Recovery codes [Show codes] [Generate new codes]
Disable 2FA
- 「Show codes(コードを表示)」 をクリックすると、現在有効なリカバリーコード一覧が画面に表示されます。
- すでに別の場所で控えているコードがあるなら、その一覧が正しく表示されるかチェックするだけで OK です。
- コードをまだ控えていない場合は、必ず 「Generate new codes(新しいコードを生成)」 を押して、新しいリカバリーコードを発行し、そのまま画面に表示されたコードをテキストメモや紙などに控えておきます。
- 生成されたコードは「表示画面を閉じると二度と見られない」ため、必ずその場で全て保存してください。
2.2. 認証アプリや SMS の登録状況を確認
- 「Preferred 2FA method(優先 2FA 方法)」の欄に、
- Authenticator app(認証アプリ)
- SMS(SMS メッセージ)のどちらかが記載されていると思います。
- それぞれについて、以下の点をチェックしてください。
- Authenticator app を使っている場合 → スマホに入れている認証アプリ(例:Google Authenticator、Authy、1Password のようなもの)が正しく 6 桁のコードを生成できるか。
- SMS を使っている場合 → 設定されている電話番号が現在も手元で操作可能か。(登録したキャリア番号が変わっていないかなど)
これらのいずれかが「自分で管理できる状態」であれば、2FA は「メールによる認証」ではなく、認証アプリまたは SMS で動作しているため、旧スクール用メールに依存していないことになります。
3. パスワードリセット(Forgot password)の送信先を確認する
- 左メニューの 「Emails(メールアドレス)」 をクリックします。
- もし日本語 UI なら「メールアドレス」という見出しがあるはずです。
- 画面右側に「Primary email address(プライマリメール)」というドロップダウンが表示されます。
- ここに“自分の個人用メール”が選ばれている ことを必ず確認してください。
- もしまだ古いスクール用メールがプライマリになっていれば、ドロップダウンを開いて新しいメールを選択し、Save ボタンを押します。
- 確認のため、別のブラウザまたはシークレットモードを開き、GitHub のログインページにアクセスします。
- “Forgot password?” をクリックし、プライマリとして登録されている自分の個人用メールアドレスを入力してからリセットリンクを送信します。
- そのメールアドレス宛にパスワードリセット用のリンクが届けば、リセットの送信先が正しく個人メールに向いている ことが確認できます。
- 旧スクールメールには何も届かないことを確認できれば、旧スクールメールには依存していないことになります。
4. 以上を確認したら、旧スクール用メールアドレスの削除
- 左メニューの 「Emails(メールアドレス)」 に戻ります。
- 旧スクール用メールアドレスの行を探し、右端にあるゴミ箱アイコン(🗑️)をクリックして削除します。
- 削除時に確認ダイアログが出た場合は「Yes」または「Delete」を選択して確定します。
注意点
- 削除直前に 「2FA のリカバリーコードが保存できている/認証アプリが動作している/SMS 受信が可能である」ことを必ずもう一度確認してください。
- パスワードリセットのリクエストも正しく新メールに届くことを確認したうえで削除することで、万が一のときにログイン不能になるリスクを防げます。
5. まとめ
- 「Password and authentication(パスワードと認証)」 ページにある 「Two-factor authentication」 セクションで、
- リカバリーコードの表示や再発行(Show codes / Generate new codes)
- 認証アプリ・SMS の登録状況をチェックして、「旧スクールメールに依存していない」ことを確認します。
- 「Emails(メールアドレス)」 ページでプライマリが個人用メールに設定されているかを確認・テストし、
- 別ブラウザで “Forgot password?” を使ってリセットメールが届くことを確認する。
- 上記が問題なければ、旧スクール用メールをゴミ箱アイコンから削除します。
これで 「旧スクール用メールを削除しても、二要素認証やパスワードリセットがすべて新しい個人メール(もしくは認証アプリ/SMS/Recovery codes)で完結する」 という状態になります。
3.4. ローカルGit設定の更新
- 開発環境のターミナルやコマンドプロンプトを開く。
- グローバル設定(またはリポジトリごと)でGitのユーザー情報を新メールに更新する:
# グローバルに設定する場合
git config --global user.email "あなたの個人メールアドレス@example.com"
# 特定リポジトリのみ変更する場合は、リポジトリのルートで次を実行
git config user.email "あなたの個人メールアドレス@example.com"
これにより、以降ローカルでコミットした際に付与されるメールアドレスが個人用になり、GitHub上で正しくあなたのアカウントに紐づくようになります。
以下では、GitHub Desktop においてコミット時に使用されるメールアドレスを切り替える方法を説明します。
GitHub Desktop でのメールアドレス設定変更手順
- GitHub Desktop を起動
- すでに開いている場合はそのままで構いません。
- 設定画面(Preferences/Options)を開く
- macOSの場合:メニューバーの 「GitHub Desktop」>「Preferences…」
- Windowsの場合:メニューバーの 「File」>「Options」
- 「Identity」タブを開く
- 左側に並んだタブの中から 「Identity」 をクリックします。
- ここには「Name(ユーザー名)」と「Email」が表示されています。
- Email フィールドを新しい個人メールに書き換える
- 「Email」の入力欄に、GitHub アカウントでプライマリに設定済みのメールアドレスを入力します。
- すでに表示されている旧スクール用メールを上書きする形で、新しい個人メールに変更してください。
- 設定を保存
- 入力が終わったら、画面下部の 「Save」(Windows)またはウィンドウを閉じる(macOS)ことで、自動的に保存されます。
- コミットを行って確認
- 以降、GitHub Desktop 上で行うコミットには新しく設定したメールアドレスが適用されます。
- GitHub 上のリポジトリページでコミット履歴を確認し、「Commits」で表示されるメールアドレスが新しいものになっているか確認してください。
ポイント
- プライマリメールと一致させることGitHub Desktop で指定するメールアドレスは、GitHub アカウントの 「Settings > Emails」 でプライマリに設定したアドレスと必ず一致させる必要があります。一致しない場合は、GitHub 側で「認証済みのメールではない」とみなされ、コミットがあなたのアカウントに紐づかない可能性があります。
- リポジトリごとに固有設定したい場合もしひとつのマシン上で複数アカウントを使い分ける必要がある場合は、GitHub Desktop の設定とは別に、該当リポジトリのルートでターミナルを開き、以下のようにリポジトリ固有のメールアドレスを設定します:
cd /path/to/your/repository
git config user.email "そのリポジトリで使いたいメール@example.com"
- こうすると、そのリポジトリ内でコミットを行ったときだけ指定のメールアドレスが使われ、他のリポジトリではGitHub Desktop 側の「Identity」で設定したメールが使われます。
以上の手順で、GitHub Desktop にてコミット時に付与されるメールアドレスを新しい個人用メールに切り替えることができます。これにより、今後のコミットはすべてプライマリに設定した個人用メールとして扱われ、GitHub 上で正しくアカウントに紐づいて表示されるようになります。
4. 変更後に確認すべきこと
- 通知メールの受信
- プルリクエストへのコメント、Issue通知などを発生させ、新しいメールアドレスへ正常に届くか確認。
- ログイン/パスワードリセット
- 一度ログアウトしてから、メールアドレスを使ってサインインできるか確認。
- パスワードリセット画面で新メールにリセットリンクが届くかテスト。
- コミットの紐づき
- GitHubの「Contributions(貢献)グラフ」に新しいコミットがカウントされているか確認。
- 以前のコミット(旧スクールメール署名)は、そのまま“あなたのコミット”として表示され続ける。
- 2要素認証やバックアップコード
- すでに2FAを設定している場合、リカバリ用のメールアドレスやSMS電話番号が古いメールに依存していないか確認し、必要に応じて再設定する。
5. 旧スクール用メールを残す場合の注意点
- 旧スクールのメールアドレスをアカウントから削除せずに残すことも可能ですが、以下のようなリスクがあります:
- GitHub側の内部的な通知がプライマリ以外のメールにも送信される場合、新旧を混同してしまう。
- 将来的にパスワードリセットの際などに旧アドレスが使われ、受信できずログイン不能になる恐れがある。
- もし「証明書や既存のコミット履歴を完全に対象メールで残したい」といった強い理由がない限りは、旧メールを削除しておくことを推奨します。
6. メリット・デメリットのまとめ
項目 | 内容 |
---|---|
メリット | – アカウント・リポジトリの所有権はそのまま維持できる – 通知や認証メールが確実に個人用に届くようになる – 将来ログイントラブルを避けられる |
デメリット(ほぼなし) | – 旧スクール用メールを認証解除するとメール通知を受け取れなくなる – 過去コミットのメール署名が旧メールのままになる(ただしGitHub上で問題なし) |
7. まとめ
- 卒業後にスクール用メールが無効になる前に、必ず「Settings > Emails」で個人メールを追加・認証し、プライマリに切り替えておくこと。
- 旧スクール用メールは不要であればすぐに削除し、通知の取りこぼしリスクをなくす。
- ローカル環境でも git config user.email を新メールに切り替え、今後のコミットが正しく個人メールで署名されるようにする。
- これらの操作を行うことで、GitHubアカウントは卒業後も自身のものとして問題なく利用し続けることができます。
以上が、「スクール配布メール⇒個人メール」に切り替えてアカウントを維持するための手順と注意点です。これらを参考にして、安心してGitHubアカウントを運用してください。
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